雑感シリーズ

関東学院大学  本間 英夫



IT革命



 二〇〇〇年に入ってから銀行、証券等の金融業、スーパーやコンビニなどの流通業、サービス業、製造業、すべての産業が何らかの形で、IT(情報技術)を活用したビジネス展開と、連日のように新聞紙上を賑わしている。

 IT(Information Technology)とは何を意味し、どこまでの領域をさすのか、ほとんど解説が無いまま、用語だけが先行しているように思える。全ての産業でインターネットを介したソフト主導型への移行のためのインフラ整備と解釈すれば分かりやすい。

 たとえば、ネット販売事業進出、e-トレード、グローバル調達、高付加価値生産体制の確立など、金融、サービス、製造、福祉、医療、趣味、スポーツ、芸術、教育にいたる、すべての分野で何らかのかかわりをもちデジタル革命が起こっているといえる。

 ITをアメリカのヤフーで検索してみたが、一三八のカテゴリー四七四六のサイトが見つかった。その中身は、ほとんどがITを駆使するビジネス支援である。この傾向は日本でも、米国のあと追いで、ITを活用するためのコンサルティング、人材育成、人材支援と今まさにインフラの整備がなされている。

 技術革新が速く、その中で競争力を高めていく手段としてITを活用した開発からメンテナンスにいたるまでのスタッフをどうするか。自前ではほとんど不可能である。

 ITを強力に推し進めていくコンサルティングからソフト構築まで、今まさにこれらの関連企業は破竹の勢い。冷静に考えると、大型コンピューターが導入された当初ソフト技術者の不足でプログラマーとして大量に雇用されたときと類似している。

 二一世紀社会はインターネットを駆使した電子商取引が当然の世の中になる。半年くらい前から、音楽の配信がインターネットで行われるようになった。この業界は現在大手二社が競っているが、関連のホームページが構築されてから一ヶ月のヒット数は一番手が五千万、二番手が三千万ヒットとのこと。ほとんど若者がアクセスしていると思われる。

 それにしても、当事者はこんなに多くのアクセスがあるとは予測していなかったようである。先ごろプロ野球のメッカ、米国のシアトルのドーム球場が取り壊された二四年間で観覧者数が七千五百万人、上述のインターネットではたったの一ヶ月でほぼ同じ人数が動員されたに等しい。比較にならない威力である。したがってe-コマースが米国でごくあたりまえになってきたし、日本でも着々と進んでいる。また、e-トレードもかなり利用されているようである。

 個人投資家が市場に戻り、最近少しずつ活況を呈してきている。一日の取引高が一兆円を超える日が十日間以上続いた。もっとも、これは個人が戻ったからではなく間接的に戻ったことになるが、投信の大量設定であろう。

 セキュリティーを心配する個人が、まだこの新しいトレードに躊躇しているようであるが、使ってみると、いつでも、どこでも即座に注文が出来る。いちいち証券会社の営業を通す必要が無い、自分の判断で思い切ってやれる。

 面白いことに、今まではどこの証券会社と取引を行っても、一般的な取引では、サービス内容は、ほぼ同じであった。金融機関の横並び姿勢そのものであった。

 ところが、e-トレードになると全く様子が異なってきた。使い勝手やコンテンツが各社各様、これはIT革命の典型である。

 やはり、ホームトレードに対して投資額の大きい最大手は、投資をする側の要望を満足させるだけのコンテンツを用意している。

 たとえば資産管理、投資額、現在の評価額はいくらとか、過去の投資履歴、持ち株リスト、売り注文は持ち株リストからすぐに出せる。買い注文の容易さ、企業情報、など使い勝手がいい。

 証券会社によっては、セキュリティーばかり意識しすぎていて、全くアクセスも遅いし情報を入手したり、売買するにも何度も確認させるものまで色々である。また中には画面がフリーズしてしまうものまである。こうなってくると全くトライする気にならない。

 そのような会社の場合は受付番号がいつも一桁か二桁、各支店ごとに分割しているのだろうが、それにしてもあまりにも利用者が少ない。

 一方、最大手はいつも数万件あるときは十万件を越していた。おそらく本社扱いですべてトータルの数値だと思うが、その日の市場が予測できる。しかも出来高の多い銘柄ではほんの数秒で売買が成立する。

 e-トレードを専門に扱っている新しい企業群はどのような魅力作りをしているかは知らないが、いずれにしてもこの例から分かるように、すべての業界において、いかに情報技術を生かしていくかで勝負が決まるような気がする。ITの取り込みで勝ち組と負け組がはっきりしてくるであろう。

 ところで、製造業に限ってIT革命とは何かと問うた場合の解答は、デジタル技術を駆使して低コスト、高効率で生産、調達、決済することであろうか。三月末までは製造業に関するITの話題はそれほど経済面には出てこなかった。もっぱら流通業、金融業、等に関係するコンサルティング、ソフトの開発が話題にされてきた。三月の決算で不良債権の前倒しやリストラのための思い切った転換が終わった企業群はいよいよこれから本腰を入れて変革に着手するであろう。すでに大手の何社かは三月期末を前に数百億のIT投資を発表していた。四月の下旬には部品メーカーが系列を超えて専用ネット回線を構築する計画が発表された。

 表面処理業界においてもすでに何社かは積極的にこの情報技術に投資している。ビデオによる会社紹介、技術紹介をITとはいえないが、かなり前から宣伝用に作成されてきた。CD-ROMの容量が大幅に向上しているのでインターネットを介して配信してはどうだろうか。また、ホームページを作成し商品群をインターネットで紹介したり、技術相談に応じたり商取引も出来る完成度の高いものもある。

しかしながら、このホームページだけを取り上げてもプロに依頼するとかなりのコストになるであろう。しばらくの間はこの種の需要が優っているので、自前で作成しない限りは多額の投資を余儀なくされる。

 これからは自前で作成できる人材を養成することが望まれる。タイムリーに迅速に、柔軟な対応が出来る。

 我々の研究室でもホームページを昨年作成した。いわゆる“コンピューターお宅”と称する朝起きると洗面所に行く前に、コンピューターの電源を入れる学生がいる。この学生はまだホームページを作成した経験は無かったが、本人は興味があるというので、早速ソフトを買い、今まで使っていたいくつかのデーターをもとにあまり手数をかけないで、とりあえず小生の要望を入れて作成にかかった。

 数日間の後、一応ホームページが出来上がった。現在一般には公開していないのでほんの一部の人だけがアクセスしている。したがって、三ヶ月で六〇〇件くらいのヒット数である。この四月から大学で正式に個々の研究室でのホームページの開設が出来るようになったので、大幅に見直し、魅力あるホームページにするよう努力するつもりである。

 その魅力とは一度ヒットしたらそれで終わりでなく、毎月ヒットしたくなるように工夫する。それには、毎月新しい研究室の技術情報をビジュアルに紹介するなど、その他いろいろ、案を練っている。

 コンピューターお宅と呼ばれないようにセミプロとして通用する人材を作り上げるのもこれからの我々の使命かもしれない。この業界に明るく、ITをある程度駆使できる学生を育てる試みに対して研究室のホームページに是非コメントお願いします。

 ホームページをこれから作成しようか、またはすでに開設されている企業も、一度アクセスしたら又アクセスしたくなるような魅力あるページにしないと意味が無い。単に“はやり”だからと作成するのでは全く無駄である。少なくとも大手企業はこれから色々ITを駆使するであろう。どうしても同じ程度のレベルに到達していないと負け組に組み込まれる可能性が高い。成熟技術が主力の場合は特にこれからが苦しい。

 IT、ITと翻弄されないように、これからは高付加価値生産のプロセス、管理技術(特に溶液を扱っているのでその液管理)、環境に対する負荷を考慮したプロセスの確立こそが最重要である。それには人を育てるしかない。



I Love You



 五月連休中に日頃懇意にしている知人から、いつもは日本語でメールが入るのに、初めて英語のメールが届いた。確か添付資料を開ける様に英語で書かれていたと思う。当日の朝にニュースでこの連休中にコンピューターウィルスが全世界に蔓延しそうだと注意を促していた。なんとそのウィルスそのものが自宅のメールを開けると配信されていた。しかも、知人のアドレスからの配信。もしそのニュースを知らなかったら、冗談で面白い内容が送られてきたのではないかと恐らくすぐにその添付資料をクリックしたであろう。

 幸いにも間一髪!開けないでそれこそそっと”ゴミ箱“に捨てるという感覚であった。この事件はその日、全世界で五千万人程度の被害が出たと報道されていた。恐らく企業を狙ったものであろう。コンピューターお宅の学生がたくさん私の周りにはいるのだが、誰もその種のメールは配信されていなかった。またこの事件が起こる二週間前、これも知人からメールが送られてきて、そこにはかなり重いが添付資料を開けてほしいとあった。電話回線を自宅で使用しているので十五分間位かけてやっと開けたと思ったら解凍されるや否やウィルスを掴んでいる画像が現れ(ウィルスバスターというらしいが)初めての経験でびっくりしたものだ。これからこの種のウィルスを撒き散らす愉快犯が多くなってくるのか。

 皆様も変だなと思ったら、添付資料は開けないように。例え、知人からでも注意のこと。