雑感シリーズ

関東学院大学  本間 英夫

病気にならない生き方

先月号で「病気にならない生き方」というタイトルのベストセラーの本の感想、及び我々の業界の長老の生き方をヒアリングすると約束したので、先ずそのことから書き出すことにした。しかし、この本を読んですでに一ヶ月が経過したので印象の強かった内容以外はほとんど忘れてしまった。

書かれていたことは、「なるほど」、「即座に実行してみよう」と思い立ったこと、また反対に「待てよ!それでは息苦しくて生きていけないぞ」という2つの思いが交錯する内容であった。

著者は内視鏡の権威で、これまでに25万例以上の胃腸を観察しているという。本の内容は、これらの観察結果から生活習慣病にならないための食生活の指導書のようなものであった。

先ずは朝起きたら水を500ミリリットルくらい飲む。その水も水道水ではなく、アルカリイオン水がいいという。それから30分後に新鮮な果物を食べ、しばらくしてから食事に入る。食事は肉類を極力避け、蛋白源は魚から取る。牛乳は飲まない。ヨーグルトは効果が無い。バターやマーガリンは良くない。米は白米ではなく、五穀米がいい。コーヒーは飲まない。揚げ物は良くない。新鮮な野菜を食べる。特に繊維質の野菜を摂る。

このように食生活の改善を提唱しているが、これではあまりにも制限が多く食事も味気なくなってくるように感じた。

同じような内容をインターネットで検索してみると、健康を維持する秘訣のようなブログを見つけた。



健康の秘訣

そのブログの内容を要約すると、インスタントコーヒーを飲まない。夕食に肉類を食べない。 肉はおなかの中で腐り易いので、極力魚を食べる。就寝前にコップ1杯の水を飲む。すると通じが良くなる。その他、家庭では浄水器を設置する。水道水には塩素が含まれているので、トリハロメタンが形成され発ガン物質の元になるし、この塩素は善玉菌に作用して腸内細菌にも影響を与えるので浄水器で塩素を取り除いた水を飲む。良いと思われる事は、先ずやってみる。(そういえば長生きする人はみんな体に良いことは何でもやる。中村先生も心臓を患われてからは、体に良いと思うことは何でも実行されていた。)また一日の食事の配分を変え、太り過ぎ対策として、夕食を主とする食事から、朝食を主として朝昼夕の割合を、4:4:2が理想という。
 夕食に満腹になるまで食べるのは脂肪を貯える主要因なので、「茶粥」くらいにしておく。食べた時にある程度の満腹感が得られて、しかも大半が水分だから目覚めた朝には、空腹状態になる。また、野菜果物ベースのサプリメントを摂るようにする。複数の野菜果物に含まれるファイトケミカルは、かなりの効果があるという。



果物の健康効果が注目

果物や野菜に含まれているポリフェノールやカロチノイドは、栄養素以外の成分で非栄養素=機能性成分であり、これらはファイトケミカルと命名されている。ファイトというのはギリシャ語で植物のこと、ケミカルは化学物質、すなわちファイトケミカルとは植物の持つ化学物質でこれらが複合的に作用し、活性酸素の除去や免疫力の増強といった優れた効果を発揮することが、各種の臨床実験で明らかになってきている。

また、ファイトケミカルは健康増進や生活習慣病、ガン、脳卒中などを予防する働きがあるといわれている。「病気にならない生き方」の内容とかなり一致していることが多く、出来る限り実行されたらいいと思う。



万病は腸の不調から

風邪は万病の元といわれるが、健康と長寿について調査をしていくと、腸の異常は万病の元であることに気づいた。

腸の異常として、リーキーガット症候群というのがある。腸壁の粘膜が破れ、腸内で発生した毒素や腸内の細菌が体内に漏れ出すという。このため体内で自家中毒を起こしたり、肝臓や腸の解毒機能が低下し、様々な病気が誘発されるというものである。腸の異常を正常に回復させるのは、腸内の善玉菌を増やすのが一番だとのこと。それにはヨーグルトを食べるのがいいという。

そういえば最近特にヨーグルトは体に良いとか、コーカサス地方の人々はヨーグルトを常食としているので長寿が多いとか、善玉菌を増やそうとか、そのような宣伝や記事を頻繁に見るようになってきた。スーパーやデパートの食品売り場でも、おびただしい種類のヨーグルトが売られている。

腸が原因と推測されている病気は万病に及び、腸の不調が病を引き起こすことは間違いない。したがって、善玉中心の「腸内細菌」を増やせばいいことになる。
 腸内細菌は、人間にとっての善玉菌、悪玉菌、中間菌に分けられる。善玉菌は、ビタミンや酪酸、アミノ酸など体に有益なものを作る。その代表例はビフィズス菌である。悪玉菌は逆に、「腐敗」を促進して有害物質を作る。その代表例はウェルシュ菌である。中間菌は体には良くも悪くも無いので、このように呼ばれている。
 健康なときはこれらの菌が一定のバランスを維持しているが、ストレスや食生活の乱れにより、これらの菌のバランスが崩れる。バランスが崩れだすと、悪玉菌が増え毒素をまき散らし、病気を引き起こすことになる。

育児は一切家内に任せていたので、実感が無いが、赤ちゃんのときは善玉菌ばかりなのか排泄物には悪臭が無いという。
 ところが年をとると、腸内細菌のバランスが崩れてくる。特に肉食を中心とすると悪玉菌が多くなり、加齢臭もこれが原因となる。
 悪玉菌は腸内の腐敗を進行させ、発ガン物質が形成される。それが大腸がん、乳がんをはじめとして、いろんな病気の原因になるのである。したがって腸内の菌のバランスを良くするためには、食生活を見直す必要がある。

たとえば、米国で、乳ガン検診の検査結果と便通頻度の関係を調べたところ、便通が週に2回以下の人からは、乳ガンとその予備軍であるとの結果が報告されている。また、日本では、食生活の西欧化が進んで腸内細菌が乱れているため、ガンの発症率が高くなってきていることは統計結果から明らかである。
 善玉菌には免疫力を強くする作用があるため、免疫を担う細胞の活性が高くなり、がん細胞を死滅させる効果もあるといわれている。すでに読者の皆さんはこの種のことは知っておられるだろうが、毎日の習慣となると、長続きしない方が多いのではと思う。しかし、健康で天寿を全うするには自分で無理のない健康づくりをする必要がある。

健康を害するもうひとつの大きな要因である喫煙に関して、企業の役員や技術のトップの方々には、その習慣をやめる傾向が強まってきた。しかし、まだまだそれでもやめる気配を見せていないトップも多い。いろんな健康に関する情報から喫煙は絶対に良くないことがわかっているのに、意志が弱い。企業のトップは健康で、エネルギッシュな即断即決の判断力を持たねばならないのに、喫煙を習慣としているようでは、不健康ですべての行動が鈍くなって、経営にもマイナス面がたくさん出てくるだろう。



長老のコメント

今までは業界や学会の長老に会っても長寿の秘訣を聞くようなことは無かったが、今回初めて80歳以上の4、5名の長老のコメントを聞くことが出来た。

そのコメントを要約すると、長生きには目標を持つこと、頭を使うこと、好奇心を旺盛にすること、散歩程度の適度の運動をすること、何でも良く食べること、らっきょうやにんにくの酢漬けを食べること、ストレスをためないこと、朗らかに明るく生きること、中には鍼灸を数十年続けている学会の重鎮がおられた。鍼灸は東洋医学の最たるもので経絡の刺激で活性化されるし免疫力を上げる。

そういえば一昨年アズマの現会長である大朏さんは脳梗塞で生死の境から生還された。初めは半身不随のような状態であったが、今ではほとんど回復されている。その回復力の速さは鍼灸治療が大きく寄与しているといわれていた。

私の父は旧制中学を卒業後、明治鍼灸大学の前身の高校を出ているが、当時はまだ東洋医学としての評価は高くなかった。父は教員の道を選択するように要請されたが私とは逆で、断ったという。

現代では、100歳以上の人が急速に増えている。1963年に100歳以上の女性は153人、1981年同じく1072人、1996年同じく7373人であった。それから10年後の本年は女性が2万4245人と急速に増加している。また、男性は4150人が100歳の仲間入りをしており、医療を始めとして生活環境も大幅に改善され、寿命の上昇傾向は続いている。

NHKで「100歳万歳」という番組があると聞くが、いたって元気な100歳を目の当たりにすると、どのように生きてこられたのか、そのあたりは番組で詳しく紹介されているのだろう。 

長寿は遺伝的な要因が大きいといわれているが、この十年間のデータから生活習慣や環境が重要であることは間違いが無い。昨年の統計によると女性の平均寿命は21年連続して世界1位である。

しかしながら、男性は32年ぶりにトップ3から4位に転落した。男性はストレスの多い社会で活動しているので、このストレスが寿命に大きく関係していることは明らかである。ストレスを感じやすい人、ためやすい人は明るく楽しく生きるコツをつかんでもっと長生きを!