雑感シリーズ(12月号)

関東学院大学  本間 英夫



仕事やる気なし

上場企業の20~30代の正社員の4分の3が、現在の仕事に無気力を感じているとの調査結果が出ている。仕事に社会的な意義を感じない若手社員は3割以上、転職希望者も4割以上に達しているという。

ネットサーフィンをしていたら次のような調査結果が出ていた。仕事に対する無気力を「よく感じる」のは16.1%、「ときどき感じる」が58.9%で、計75.0%が仕事に無気力を感じていた。転職や独立については、「機会があればすぐにでも」が18.7%、「3年以内」が13.0%、「あと5年ぐらい勤めたい」が12.3%を合わせると、44.0%が転職を希望している。「現在の仕事に社会的な使命感を感じない」と答える人も31.7%。一方、やりがいを感じる仕事については「報酬が高い」ことが29.0%でトップ。お金以外では、「仕事自体の面白さや刺激」が44.5%、「同僚や後輩から信頼されること、感謝されること」が35.0%となっている。

これらの調査は、確か野村総研の結果だったと思うが、フリーターやニートは2010年までますます増加すると予測しており、仕事の動機付けにつながる使命感の確立や、若手社員が自分を試せる機会の準備など、企業側の対策が必要だと提言していた。



企業は誰のもの

株式を公開している企業では、「企業は株主のもの」と配当性向が高まり、従業員にしわ寄せが来ているとのコメントが多い。

東証一部上場企業の今年の冬のボーナスは74万程度、一方で中小企業(従業員1000人未満)を含めた冬のボーナスは、原油の高騰などによる原材料価格の上昇により収益改善が困難で、前年比マイナス1.9%、平均金額で33万2000円(パートタイマーも含む)になると予測されていた。

企業規模別の経常利益の推移を見ると、1993年から2005年ごろまでは大企業と中小企業の収益はほぼ連動していたが、2年ほど前から、大企業が経常利益を順調に伸ばしているのに対し、中小企業は頭打ちとなっている。さらに、大企業は今年度に入ってからパートタイマーが前年比マイナス16.8%減少し、フルタイムは4.2%増加している。一方の中小企業は、パートタイマーが4.6%増え、フルタイムは0.7%の増加にとどまっている。

このように、大企業はフルタイムの就業者が増えたことでボーナスが伸び、中小企業はパートタイマーの増加によって、見かけ上ボーナスを押し下げている。中小企業では、フルタイム雇用を増やせるだけの成長見通しが立たないし、必要な人材が確保できていない。就業者の多くを占める、中小企業の低賃金及び賞与低迷が続く限り、消費活動の明るさは見えてこない。

製造業を中心とした多くの企業では、人件費の削減から派遣社員やパートタイマーの比率が高くなっている。これにより、正社員特に中堅の技術者は過剰の負荷を強いられており、肉体的、精神的に追い詰められている。この現状を、経営者は深刻に受け止め、いかに打破するか熟考すべきである。



来春の新卒採用は

来春、4月早々から新卒の争奪戦が始まる。採用の早期化で、学生の理解が不十分なまま内定しているため、雇用のミスマッチから入社後の離職率は最近大きく上昇している。それを防ぐため、企業側が採用法を工夫する動きも目立ってきた。

人員削減で不況を乗り切った企業が、昨年あたりから採用拡大を始めた。電機業界も、研究開発や設備投資の強化でしのぎを削っている。電機業界では、これまでの採用抑制の影響で技術者が不足しているため、大卒技術系の採用を大幅に増やす。また、工場の国内回帰や新技術に着手し、新工場が稼働し始めている企業もある。大企業は、適正な年齢構成の維持や技術継承の必要から、新卒の採用に躍起である。

このように各社が採用増を打ち出す中、優秀な学生を獲得しようと、多くの業種で4月上旬から一斉に内定を出す動きが強まりそうだ。

しかし、各社が4月に一斉に選考を開始するため学生は面接などが重なり、受けたい会社を受けられない状況だといわれている。企業や業種について、意思が固まる前に内定が出ると、辞退者が増える、職業のミスマッチの原因になるなどの指摘もある。
 そこで、学生の確保にあたって、これまで以上に採用方法の工夫をしている。内定段階で学生に配属部署を伝える「配属予約採用制」、入社時期を最大2年先まで選べる「入社時期のフレックス化」、大学院進学も検討する学生層にもアピールしている。

このように、企業の採用意欲は高まってきたが、少しでもレベルの高い人材を採用する傾向は強い。優秀な学生は複数の内定を取る一方で、なかなか就職先が決まらない学生も存在する二極化が進んでいる。



進学も所得格差

家庭の所得によって、子どもの進学への期待や習い事にかける費用に格差が出ていることはすでに明らかになっている。

所得が1000万円以上の家庭では89%が子どもに大学・大学院進学を希望しているのに対し、200万~400万円未満は44%、400万~600万円未満は60%。200万円未満の家庭では30%が、特に希望はないと答えた。

第一子に習い事をさせる割合や、平均月謝額も所得に比例している。1000万円以上の家庭の79%が習い事をさせ、約2万7000円の月謝を払っているのに対し、400万~600万円未満の家庭の52%が、200万~400万円未満の家庭においては38%の家族が、それぞれ約1万2000円および約9600円の月謝を払っていた。子どもの教育費は「かかる」というよりも「かける」ということが明確に表れ、所得差が教育格差につながりかねない。したがって、子育て世帯への教育費の支援が今後の課題になる。



2007年の国際競争力ランキング

世界の政財界人らが集う「ダボス会議」を主宰する世界経済フォーラム(WEF)は。11月末に2007年の国際競争力ランキングを発表した。米国は、財政の健全性について懸念があるが、有力な大学や革新的な企業が集まっている点が評価され、131の国・地域で昨年に続き米国が1位だった。
 WEFは、米国は生産性と革新性における潜在力が世界で最も高いと評価した。
 しかしながら、米国は巨額の財政・貿易赤字を抱えているうえ、ドルが下落していることから、経済大国としての地位をインドや中国などの新興国に奪われるのではないかとの危惧もある。
 国際競争力ランキングの2位以下は、スイス、デンマーク、スウェーデン、ドイツ。アジア諸国では、シンガポールが7位、日本が8位、中国が34位、インドが48位だった。中南米ではチリの26位が最高だった。
 日本は06年版の5位から3ランク落ちた。アジアからは、シンガポールが日本を抜いて7位に入った。この種のニュースは日本がトップに躍り出たとかになると大きく報道するが、今回は各紙とも小さな記事として紹介されていた。