雑感シリーズ(9月号)

 関東学院大学 本間英夫



最近の話題から



LED照明

省エネで長寿命とのキャッチフレーズの下、 LED(発光ダイオード)電球市場がにわかに拡大してきており、我々の業界の中でも、LED関連のセラミックス基板、リフレクター、接点部品のめっきに着手した企業は超多忙である。
 2010年5月のLED電球の販売数量を示す指数が、09年7月の1に対して55に、金額ベースでは48に達し、現在では大手各社のコスト競争から価格が急速に下がっている。

 発売当初、価格が1万円前後であったのに対し、10年1月の平均価格が約3700円に、5月には約2950円にまで下落している。さらには、低価格帯モデルの投入で価格面でも手が届きやすくなってきた。それでも一般の白熱電球と比べ、価格はかなり高いが、長寿命で消費電力も大幅に低いため、消費者の「エコ意識」の高まりと、これまでの電球とそのまま取り替えることが出来る便利性から売り上げが伸びている。これらのことから、東芝ライテックではすでに国内での白熱電球の生産を中止している。

しかしながら、LED電球を実際に使用してみると、これまでの白熱電球とは違い、色々問題があるようで、市場の拡大と共にLED電球への苦情や相談も増えている。国民生活センターに寄せられた苦情の具体的な内容を挙げると、「10年間使用出来るというので買ったのに、すぐに切れた」、「調光用LED電球を買ったが、暗くすると明かりがチラつく。メーカーに問い合わせたところ、難しい商品なので性能にバラつきがあると言われた」、「明るさの表示には60ワットとあったのに、実際には40ワットの明るさしかなかった。メーカーは表示を明確にすべきだ」「光が広がらない」、「重くて照明器具にあわない」等々。

 従来の白熱電球とLED電球では、外見は同じように見えるが仕組みが全然違う。白熱電球は、電球の中にある抵抗の高いフィラメントに電流が流れることにより、1000度以上の熱と光を放出するが、LED電球の場合は発光ダイオードを用いているため、それほど多くの熱は発生しない。それでも熱が蓄積すると寿命が大きく低下するため、熱をいかに逃がすか工夫が成されている。一般的には電源や熱を逃すために、電球ソケットの上部を金属アルミニウムをベースとした放熱板で帯状に覆っているため重たくなってしまう。また、リフレクターとしては銀の皮膜が一番優れているのだが、腐食しやすいため、銀合金や他の金属の皮膜について検討されている。

さらには、白熱電球の光は全方向に広がるのに対し、LED電球は指向性が高い。そのため、光の当たり方が白熱電球とは随分異なる。例えば、ペンダントライトや横付け、斜め付けのLED照明器具を使う場合は少し暗く感じる。しかしながら、省エネ、長寿命をアピールし、一般家庭よりも公共の場所の照明器具に積極的に採用されている。これからは、さらなるLEDの高輝度化、効率の高い放熱、リフレクターの改良が鍵となる。

 LEDの発光原理は蛍光灯とは異なり、電気エネルギーを直接光エネルギーに変換するため、熱の発生も少なく蛍光灯よりもさらに発光効率は高い。照明の入力エネルギーに対する可視光変換の割合を比較すると、白熱電球10%、蛍光灯25%、LEDは32%、寿命はそれぞれ1千時間、1万時間、4万時間で、いずれはほとんどの照明がLEDに取って代わるであろう。



iPadの魅力

アップルが2010年5月28日に日本で発売した「iPad」は、携帯電話でもなく、パソコンでもなく、まったく新しいタイプのデバイスである。このデバイスの部品のほとんどは、残念ながら日本製ではない。

発売当初は、ノートパソコンが必要なくなるのだろうとまで言われ、初日は長蛇の列であったとニュース報道がなされていた。しかしながら、iPhoneにしても iPadにしても、若い時のように新しいものにすぐに飛びつくような元気はなくなってきた。

息子が早速購入してきたiPadは、730g(Wi-Fi + 3Gモデル、Wi-Fiモデルは680g)で、1kgを切る軽量なモバイルノートと比べれば、全体が画面になっており、これまでのノートパソコンよりさらに薄く、手ごろなサイズである。9.7インチという画面で、メールを読むのも、インターネットを見るのもケータイなどより見やすく疲れない。起動は、瞬時に行われ、ノートパソコンよりも気軽に脇に抱えて持ち歩ける。その特徴を生かして、電子書籍としての機能が充実していると言う。アップルと同様に、アマゾンからも電子書籍端末キンドルが発売された。これからは、書籍の多くは電子化されていくと言われている。

しかしながら、我々のような年配者はやはり紙ベースがいい。だが、学会誌の一部はすでに電子化されており、いずれは全て電子化され、学会にも大変革が起こるのであろうか。ペーパーレスの時代が来ると言われているが、紙ベースのほうが読み返しやマーキングが容易だし、記憶に残り易いと言うのが実感である。

今回開発されたプロセッサーの処理速度と バッテリー持続時間が、ユーザーの魅力を倍増させている。今後はさらに、マルチタスクのOSが実装されるようだし、iPad向けの高機能アプリケーションがますます増えるだろう。      

これまでは、パソコンを持ち歩くときにバッテリーの消耗がいつも気になっていたが、1日中持ち歩いてもバッテリー切れを気にしなくていいため、今後は、「モバイルマシン」としてユーザーが増えていくだろう。しかしながら現在のところ、私の周り(スタッフおよび学生20名以上になるが)ではほとんど普及していない。



ノートパソコンの代わりになるか

上記のような利便性から、iPadはノートパソコンとの置き換えが可能だろうか。  

今まさに、パソコンに向かって雑感を書いているが、それをiPadで書いてみると、ソフトウェアのキーボードは、わずかにタッチするだけで入力され、パソコンのキーボードと比べると、どうしてもミスタッチが多く、何度も修正が必要となる。

また、横置きの場合、ソフトウェアのキーボードは画面の半分近くを占めてしまう。外付けキーボードを使えばかなり快適になると言うが(いずれ試してみたいと思う)、iPadの特徴であるハンディーさがなくなる。この種の問題は、さらなるOSやアプリケーションの補強充実により解決されていくだろうが、現時点ではiPadはノートパソコンの代わりにはならないのではと考えている。

私にとってパソコンは、原稿の執筆には必携であり、大学のオフィスや自宅、あるいは山小屋で作業することが多い。



次世代の通信規格「LTE」

携帯電話は、メール機能、音楽再生機能、デジカメ機能など、多機能化が進んでいるが、新たな展開として、次世代の通信規格LTEがNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルの携帯電話4社で、2010年10月以降にサービスを始める見通しだと発表された。LTEとは、「Long Term Evolution」の略称で、2010年頃から世界中でのサービスが見込まれている携帯電話の通信規格である。現在普及しているW-CDMAやCDMA2000といった第3世代携帯電話(3G)と、将来登場する第4世代携帯電話(4G)との間の技術であるため、LTEは第3.9世代携帯電話(3.9G)とも呼ばれている。
 LTEの最大の魅力は、携帯電話でも光ブロードバンド(FTTH)並みの通信速度が実現でき、これまで家庭やオフィスなどの屋内で使用していた固定回線での高速インターネットが屋外でも可能となる。また、オンラインゲームや動画再生などが、従来の携帯電話よりもスムーズに表示できるようになる。携帯電話はこれからも進化を続ける。さらに高速、大容量の通信が実現すれば、一瞬で音楽のダウンロードができ、スムーズな動画像を併用した通話が可能になる。また、伝送遅延、待ち受けからの通信状態への遅延を低減する技術も盛り込まれており、使い勝手も向上するものと期待されている。

これまで、情報処理速度の高速化や高集積化のためにLSIの微細化が行われてきたが、微細化に伴う配線遅延の問題から、層間絶縁膜としてさらに誘電率(ε)の低い材料が求められるようになってきた。

さらに、使用する周波数の高周波化により伝送損失が増大するため、絶縁膜には低誘電損失特性が求められる。絶縁膜として従来用いられてきたポリイミド樹脂は、誘電率が高く、次世代の材料に適しているとは言えない。そこで、誘電率および誘電正接(tanδ)の低い材料への配線形成が求められるようになってきた。しかも、信号のやり取りの要となる銅配線は、これまでのサブミクロン~ミクロンオーダーでの粗化によるアンカー効果による密着を得る手法では、もはや対応できなくなる。誘電率の低い材料に対して、素材の平滑性を維持しながら銅を成膜する技術が重要になってきた。我々がこれまで検討してきた、UVを用いた有機材料の表面改質技術の実用化が近いと確信している。