過去の雑感シリーズ

2020年

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「三方よし」の経営とエンジニアの教育
材料・表面工学研究所
講師 梅田泰



まえがき
私の父は半導体の部材メーカーの経営を行っていた為、小さいころから将来のためにと思っていたかどうか分からないが、製品作りに必要だと言って、食卓の上に載っている品物の表面積を計算させ、その品物に3ミクロン金めっきをつけるとどれくらいの金が付着するかという計算を食事の前によくやらされた。
「こんなの学校でやらない」と言うと、大人になったときに金の付着量を間違えて見積りすると取り返しがつかないので今の内から練習しなければいけないと言われ、その回答が出るまでご飯を食べさせてくれなかった。
また、家族は父と母、姉と私の4人家族で大福が1個しかないときに、誰か一人が食べてしまうのではなくて、4人均等に分けなければいけないと、糸を使ってきれいに4等分して食べたことがあった。これは弱いものでも、均等に分けてもらわなければいけないのだと言われた。その際に言われる言葉は「物言わぬものをないがしろにしてはいけない」。声を上げられない人へも配慮しろと言うこと、また、次によく言われたのが自分だけが良いということだけではだめで、関わっている人すべてが良くなることでなければだめであり、それが近江商人の「三方よし」の考え方で、それを実行すると会社が大きくなると言い、近江兄弟社のメンタームを例に挙げて説明をしていた。
小さい頃はこんなこと言われても何の役に立つのかと思っていたが、自分が社会で働きだすと、理不尽な経験をするたびにこの言葉を思い出したものだ。
今ではこの言葉を噛み締めるような歳になり、当時教育されたことに感謝している。
ところで日本では財界から給与体系において能力給の要望が出てきているが、日本ではその方法が定着してこなかった。学校では人と戦いを挑むことが良いことであるような教育は受けていない。今回の雑感で「三方よし」についての簡単な説明と材料・表面工学研究所が皆さんをサポートできる点について紹介したい。

三方よしとは
今、「三方よし」の経営を見直そうという考え方が多く聞かれる。
「三方良し」の理念は鎌倉時代から江戸時代に活躍した滋賀県の近江出身の商人から生まれた理念で、一介の商人から一代で巨万の富を築き、且つ人格者生んだと言われている。
渋沢栄一が一万円札の肖像になるが、日本の主要企業の礎を築いたと言われ、その経営の手法の中に近江商人の「三方よし」の理念があるとも言われている。
また、経営の神様と言われるドラッカーにおいても、近江商人とは言っていないが、渋沢栄一の客の満足を優先する理念を参考にしていると言われている。
「三方よし」とは商売で売り手良し、買い手良し、世間良し、商品を売った人も、買った人も良く、また、その商品を売ったことで他人に迷惑が掛からない、全てに良い商売をしようという考え方である。
日本には創業から百年以上続く企業が26,000社以上あり、ドイツの数千社をはるかに超えていると言われている。現在は欧米系の経営スタイルが主流なので、企業は企業後一年で60%が潰れ、10年後にはわずか6%の企業しか残れないと言われている。
今は我慢すべき時であるとか、この商品は必ず売れるので、どんなことをしても食いつないで成功させようという経営スタイルにならないために、このように状況になってしまうようである。
「三方よし」の経営理念で操業している企業の中には従業員を大切にすることで伸びた企業があると言われている。
現在の伊藤忠商事が江戸時代の創業時には、従業員は一汁一菜の食事を朝と晩だけ食べる生活であったようで、力を出せるような食事でなかったため、従業員に魚などの栄養のあるものを与え、さらに仕事が出来る人間には分け前を与えることでさらに一生懸命働く意欲を与えることで商売が栄えたと言われている。

商売の目的は何か
商売の目的はなんであるかと聞かれると多くは利益を出すこと、と一番に言う人が多いのではないだろうか。
「三方よし」の商売ではお客様の満足が目的であったと言われる。
ドラッカーの考え方も、まずは企業の最大の目的は顧客の創造であると言っている。まさしく、お客様が満足しなければ全てが始まらないということである。お客様が満足してくれなければ永続的に購入してくれることはあり得ない。
では、利益はいつ出てくるのかというと、利益を出すことは元々当たり前のことで、マイナスが続く商売など資金が途絶えてしまうためありえないと言っている。利益を出すためには血のにじむような努力が必要となるであろう。
欧米系の経営では、今この商品を売れば儲かるから何とかして売り切ろうという商売であり、先ず初めに先様の満足を考えるということが無いために、永続的な商売になっていないことが多いようだ。

三方よしの主人公はだれか
近江商人の商売はご当地で安い価格で仕入れられる良い品物へ付加価値をつけて販売し、売った先で安く仕入れられる価値あるものを、他の地に付加価値をつけて販売することで日本全国に販売網を設け、そのノウハウを蓄積していったという。
全国に散らばった商売を一人の商人で賄うことが出来ないため、当然それら仕事を任せられる手代の人間が正直な商売を続けることでさらに商売が大きくなっていったと言われる。
手代さんたちがいなければ商売を大きくすることは出来なかったわけであり、本来主役だったわけである。手代さんたちはなぜ一生懸命働いたのだろうか。
奉公のころから大事にされ、先輩たちから良い教育を受けることで生涯を捧げてここで働けるという安心感から、自分の持てる才能を発揮したからであると言われ、その人間が一生懸命働くといった良い関係があったと言われる。
現代の主従関係はどうなってきただろうか。正社員はあまりとらずに生産要員は受注に合わせて調整するために契約社員、あるいは派遣社員にしておこうという流れがいまだに止まっていないように感じる。他社が新しいことを始めると、遅れをとると右へ習えと真似をする。
しかし、本来からすると事業の方向性は現場で生産をする人間が製品に最も近い存在であり、生産品の状況を把握できるエンジニア達も加えて考えるべきなのに、エンジニアを自動機の一部として使ってしまうことで、本来であれば見逃していけない変化を見過ごし、歩留まり低下を引き起こしてはいないだろうか。「三方よし」の話からから急に現場の作業者の話に置き換わってしまったが、まさしくこれらが「三方よし」の商売が出来なくなる根源を作っているような気がしてならない。
管理者は出来上がった商品の歩留まりを見て、この頃品質が悪いと訴え、現場は納入された素材が不安定であると、先送りの言い訳をぐるぐる回している企業が多くなっているような気がする。目先の利益を追求するあまりに10年、20年先を見通せるような従業員の教育が出来なくなっている。新製品において開発から製品の品質が安定するために最低5年は掛かる。そんなに掛かっていてはだめだと思うかもしれないが意外と掛かるものである。
素材がらみ、工程管理の方法、不具合発生の兆候を事前に発見し、不良とならないための技術の確立など、現場のエンジニアが主役となるべきことが多いのだ。
しかし、契約社員や派遣社員では現場の細かい不具合を調整するための能力は備わっていない。5年先の歩留まり改善なども全く想像すらできない。

主人公たちへの教育が「三方よし」の経営の根源となる
「三方よし」の経営には永続的な商売をするために客先との信頼関係が重要である。
製品の出来栄えが把握できない作業者が作った製品を買った人はその商品を信用することができるのだろうか。また、正社員でない従業員は真剣にその商品をよくするための研究や品質向上のために休みの日でも勉強し、改善をしようとすることが出来るのか。
どう考えても出来ないと思うのが普通であろう。
人を雇うということは大変コストが掛かることで出来れば安く雇いたいという気持ちは
分かるが、そのようなことで顧客が満足する製品を作ることが出来るのだろうか。製品を熟知したエンジニアが作る製品と、仕事をこなすだけの作業者が製造した商品には大きな違いが長年の中で出てくるはずである。
これらは段々に忍び寄る違いなので、気が付いた時に手が付けられない状態にならないよう注意しなければならない。
客先との信頼関係を築くために重要なエンジニアたちは、今どのような教育あるいは自己研鑽を積んでいるのだろうか。技能試験を受けさせて合格したら一人前のレッテルを張っているだけなどと言う企業が多いのではないだろうか。
我々の業界は表面処理であるから、今使用している素材の性状はどんなものであるのか、どのように製造され、どのようなメカニズムで密着力が出るのか、耐食性はどのようすれば得られるか、また、それらを管理するための方法はどのようなものがあるかなど、現場のエンジニアが熟知していなければならない。
開発部があるから現場はそこまで理解していなくても良い、ということをいう方がいるかもしれないが、現場と整合の無い技術ほど恐ろしいものはない。最終的には開発技術だけでなく、企業は量産をしなければいけないから製造内で起きる日々の問題解決が非常に重要である。
現場のエンジニアが開発部署の誤った点があれば指摘できるぐらいでなければ、良い製品は出ないと言って過言ではない。これらがつながることで客先は安心して製品を依頼できるのだ。これが顧客の満足となる。

今こそ現場エンジニアを教育しよう
企業に入って生産要員になってしまうとその日の生産に追われて勉強の機会を与えられることは難しい。しかし、時代は常に未来に向けて新しい技術の導入が求められている。
それについていくことが出来なければ遅れをとることになる。
特に表面処理は下流の仕事であり、客先から言われたままの仕様をこなすことが多いのかもしれないが、得意先に先んじて提案できるようにしたいものである。
将来、車載部品なども電動化に向けて大きく変動していく。
軽量化や事故による被害を減らすための安全性がさらに求められることで、素材なども変化してくる。そんな時に素材の性状やそれらに合わせた表面処理の方法を検討できるエンジニアを育てておく必要がある。
素材は素材メーカーが用意し、前処理、めっき薬品は薬品メーカーが用意するから全体の技術がまとまった時点で始めようと考えている企業があるかもしれないが、新しい技術とはそんなに安易にできるものではないだろう。
今こそ、低環境負荷、IIoT、新素材への対応を考えられるように現場エンジニアの再教育が重要であると思う。
大手企業では能力級の検討が始まり、経団連からもそのような要望が出始めている。それらに対応するためにも今迄のエンジニアにさらなる貢献をさせられるようにしなければいけない。

まとめ
「三方よし」の経営から最後は作業者の教育ということで締めくくったが、客先に技術を提案できることが客先の満足につながり、今迄の様に図面と仕様が降りてくるのを待っているだけでは理想的な経営にならないのではないだろうか。
海外へ進出している企業では、エンジニアが博士号を持っていないと信用が足りないということで、三年に一人ずつ継続的に博士課程に派遣している企業があるが、そのような企業は右肩上がりの成長をしているとともに、従業員が生き生きしている。
顧客満足が第一であるとすれば、企業と社員との信頼関係も同等の重要性がある。
その信頼関係がさらに顧客との深い信頼関係に発展し、日本独自の「三方よし」の経営が永続的になることを望みたい。
材料・表面工学研究所では博士前期、後期課程だけでなく、文部科学省から認定された高度職業人教育プログラムで社会人を対象とした一年間でめっき技術の基礎を学べる教育プログラムを用意している。プログラム終了後、実績があれば飛び級で博士課程に入ることも可能なので活用頂きたい。

VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン
関東学院大学 材料・表面工学研究所
堀内 義夫


 新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、会社からテレワークを命じられる方が増えています。自宅での作業スペースの確保に存外苦労されているという話も友人から聞きました。しかし、自宅で自由に作業環境を構築できる絶好の機会と考えていただき、できる限り快適に過ごしていただきたいと思います。自宅で作業する際に構築するPC環境について、厚生労働省が示している「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を基にご紹介させていただきます。

 VDT(Visual Display Terminal)作業とは、コンピュータディスプレイを使った作業の総称です。長時間のVDT作業は首や肩の凝り、眼精疲労やドライアイなどの身体的負担を増加させるため、労働衛生上の問題になっています。このガイドラインは、なるべく作業者の負担とならない作業環境を構築し、作業時間や休憩などの作業管理を適切にすることで、健康に対する負荷を少なくする手法について述べています。本稿では自宅でノートPCを使った作業を主体として扱っていますので、特にMicrosoft Officeを使った業務などの一般的なPC作業を想定しています。

作業環境管理
(1)照明及び採光
 室内はまぶしくない程度に明るく、ディスプレイに対して十分に光が入射している必要があります。また、周辺のキーボードや紙の資料なども同程度明るくすることで、明暗の差から生じる眼の負担を抑えられます。そのため、卓上ライトなどを使用すると良いでしょう。

(2)グレアの防止
 VDT作業におけるグレアとは、視界内に明るすぎる照明や点滅する光源などがあることで視認性が低下することを指します。光源の位置だけではなく、ディスプレイに反射して映り込む場合にも視認性を損なうので注意が必要となります。
 市販のディスプレイにはグレア(反射)型とノングレア(反射防止)型があります。グレア型は黒色が引き立ち、画面が鮮やかになるため動画鑑賞用途などに人気がありますが、PC作業には映り込みの少なさからノングレア型がお勧めです。現在使用しているのディスプレイがグレア型である場合、反射防止フィルムなどを張ることでノングレア化も可能ですが、性能によっては表示文字の鮮明度が低下することもあるとのことです。製品を検索する際は「ノングレア」や「アンチグレア」などをキーワードにすると良いと思います。
 ガイドラインに記載はありませんが、所謂「ブルーライト」は、アメリカ眼科学会のコメントに従いカットすることをお勧めしています。Windows10の場合、スタートメニュー>設定>システム>ディスプレイ>夜間モードの設定 により調整可能です。もちろん、動画や写真などを鑑賞する場合は設定を戻していただいても結構です。また、最近の液晶ディスプレイにはブルーライトカット機能がついているもが多くあります。

(3)騒音の低減
 自宅でのテレワークではあまり気にする必要がないかもしれません。カーペットを引く、音源を遠ざけるなど、必要に応じて消音をしてください。最近は、ノイズキャンセリング機能の付いたヘッドホンを使用することで、作業に集中できる環境にされる方もいます。

(4)その他
 換気、温度および湿度の調整をし、なるべく快適な環境を用意してください。特に二酸化炭素濃度が高くなるといつの間にか頭がぼーっとしてきますので、定期的な換気を心がけてください。

作業管理
(1)作業時間等
 ガイドラインでは作業内容の負担の度合いによって区分を定義していますが、一連続作業時間が長くならないように定期的に数分の小休止やストレッチ運動、眼の休憩などをしましょうという趣旨です。PC作業を1時間したら、ディスプレイを見ない時間を数分つくるなどするようにしましょう。また、ご自身の一日あたりの平均PC作業時間を把握することも大切です。

(2)VDT機器等
 デスクトップPCとノートPCはそれぞれ一長一短あり、モバイル性が必要な場合にはノートPCを選ばれるのが当然です。しかし、ノートPCを使用する時は姿勢が悪くなりがちであるため長時間の作業に向いてなく、出来る限りの改善をお勧めします。
 殆どの方はデスクに置いたノートPCをそのまま、あるいはマウスのみを接続して利用されているのではないでしょうか。ディスプレイとキーボードの距離は詰まっており、目線はかなり下に向けるため頸椎にも負荷がかかります。姿勢を整えるにはいくつかの改善方法がありますが、特に有効なのはディスプレイとキーボードの分離です。ノートPCはキーボードとディスプレイが一体化しているため、どうしても姿勢が崩れがちになります。キーボードを外付けしてノートPCのディスプレイを手元よりやや離した位置に設置することで、作業環境の改善はできます。その場合はマウスも接続する必要があります。
 外部ディスプレイを用意することでも、作業姿勢は改善できます。目に優しいVDT作業モードを搭載したノングレア型のディスプレイを顔から40cm以上離したところに、水平視線よりやや下に画面が来るようセットしてください。その際はノートPCをディスプレイは手元に置いて補助的な用途に使用しましょう。複数のディスプレイを用いることで作業効率の向上だけでなく、頭頚部が動くことで静的筋肉負担を低減できることも報告されています。また、椅子やデスクも身体にあわせて調整できるものが良いでしょう。
 最もお勧めしたいのは、外部ディスプレイ、キーボード、マウスを全て接続してデスクトップPCのように扱うことです。キーボードやマウスは、必要としている機能、個人の手の大きさや利き手によっても使いやすさが左右されます。より自身の身体に負担が少ないものを採用しましょう。お勧めのデバイスを紹介しようとしたら紙面を埋め尽くしてしまいましたので、今執筆しているのに使用しているマウスとキーボードをご紹介させていただきます。
・Microsoft Classic IntelliMouse(マウス/勤務中)
・Microsoft Natural Ergonomic Keyboard 4000(キーボード/勤務中)
・Microsoft Pro IntelliMouse(マウス/自宅)
・東プレ REALFORCE 106S/廃盤(キーボード/自宅)

 以上、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」を基に、主にノートPCを使って作業されている方に負担の少なくなる作業環境・管理について簡単ながら述べさせていただきました。一連続作業中に適度な休止(休息)時間を設ける事と姿勢改善をすることで、眼精疲労や腰痛などといった心身の負担を軽減することができます。社用PCへのUSBを経由した接続が制限されている場合でも、外部ディスプレイへの接続は許されていると思います。身体に合った椅子やデスクを用意することも非常に重要です。出来る範囲での改善を心がけましょう。
 また、PC購入時に付属していたキーボードやノートパソコンで打ち込みされている人は、東プレのキーボードであるREALFORCEシリーズを特にお勧めします。どれだけ素晴らしいキーボードか是非ご使用して感じてください。一番安いものでも1万7千円台からと高価に感じるかもしれませんが、10年は使えると考えれば1年あたり2000円以下とむしろ安価です。1,2年で壊れるキーボードを購入するぐらいならREALFORCEを触ってみましょう。

想像力・発想力・創造力
関東学院大学 材料・表面工学研究所

副所長  渡邊 充広


 今年のゴールデンウイーク(GW)を自宅で過ごした方は多いと思います。私も性格に似合わずその一人です。普段は休日となると早朝からアウトドアレジャーに出かけてしまう性分のため、青空が恨めしかったです。インハウスの趣味にギターがありますが、何かこの機会に新たなことを思い40年ぶりにベースを押入れから出し弾いてみました。超初心者に逆戻りで、Youtubeを見ながら練習を始め今も続けています。趣味が一つ増えました。
 夜になると楽器から離れ、ネットで気になる事を調べる事が多くなりました。コロナ情勢、財テク、次世代通信、デジタル医療、テレパシー、VR(virtual reality)、幽霊の存在、宇宙、UFO、光速を超えるには…とだんだんSFチックになっていました。
 私の趣味の一つに小学生の頃から続いている天体観望があり、熱中時は天体写真を雑誌に投稿したりもしました。星を眺めながらいつも描いてしまう空想は、あの星へ行くには…とか、宇宙船の窓から見える星景を空想したり…とかは今でも星を眺める度に続いています。
 GW中、私は夏の天の川の中にあるわし星雲(7000光年) とオメガ星雲(4200光年)へ望遠鏡を向け眺めていました。星を眺め始めた時点で私の星間旅行は始まり、光速で往復1万年以上かかるところをたったの10分足らずで往復してきました。光速をはるかに超えた速度で星間旅行を楽しんできたのです。勿論、物理学上ではありえないことで、想像というか妄想の世界です。
 最近、VRがなにかと話題になっています。5G通信もVRにむけた準備であるかの如く解説していたTV番組も放映されていました。番組では、個人のアバター(化身の意味で、ネットワーク上の仮想的空間に自分の分身として表示されるキャラクター)により、仮想空間、仮想社会で活動するようになり、仮想的第二の地球が作られていくというものです。2009年に“アバター”という映画が放映され大ヒットしましたが正にその世界といった感じです。個人の意識や記憶は電子信号化され、AIにより処理された思考でアバターが仮想空間で活動するというものです。勿論、ビジネスもスポーツも恋愛もです。前記した私の星間旅行は、自身のアバターが仮想空間で旅をしてきたようにみる事も出来ます。
 「人間は地球上で唯一想像しそれを創造できる能力をもつ生物である」と言われます。例えば、ドラえもんの小道具、放映当初は想像的小道具であり実現は夢物語と言われていましたが、いくつかは既に実用化されています。先日、FM横浜でドラえもんの小道具について話題になっていました。何が欲しいか…タケコプターが第一位でした。私はどう作るか運転しながら考えました。回転ペラは姿勢安定に使い反重力パワーを動力にできないか…とか。ちなみに私は“どこでもドア”が欲しいですね。ワームホールを使って空間移動、人体を光子へ分解、そして人体に再生できれば…とか想像と自問自答の悪い癖が出てしまいます。
 記憶に残るアニメに1965年放映のスーパージェッタ―があります。1000年先の未来(2965年)から主人公がやってきた設定です。流星号というオープンカーと通信ができ、呼ぶとマッハ15で流星号がやってきます。2020年の現在、既に車との通信は確立され、自動運転、迎車も可能です。空飛ぶ車も検討されています。幾年後かには具現化しそうです。課題はマッハ15、時速に換算すると18360km/h、東京~ニューヨークを私の計算上では36分で移動できます!実現化を考えるとワクワクします。2965年はそんな社会なのかもしれません。もしくは前記した仮想空間が主体的な社会なのかもしれません。
 勝手気ままに記述しましたが、想像力は願望の実現化への出発点であると思います。願望を現実化するということ、すなわち想像力は創造力に繋がる、と、私は思っています。想像力、創造力は人間に与えられた素晴らしい能力なのだと思います。
 さて、同意語的なものに発想力があります。私見ですが想像力と発想力は似て異なるものという気がします。想像力は豊かだけど、それを自分の中だけのことにしてしまうのは妄想であり、発想力は、思い浮かんだ想像(考えやヒラメキ)を伝える能力も含むものと思います。さて、想像(発想)→創造→具現化にあたって大事なことは何か? それは行動です。すなわち行動がないとアウトです。いわゆる“絵に描いた餅“で終わりです。先ほどの流星号を実現化するとしたら…安全に行き来するにはどうすればいいか、誰でも買える価格にするにはどうすればいいか、材料は…、駆動力は…、制動力は…云々と研究、開発すべき点が見えてきます。課題解決に取り組むことは、創造、実現化に向けたスタートとなります。”千里の道も一歩から“です。前記が壮大し過ぎましたが、身近な生活、仕事においてもこれらの能力(想像力・発想力、創造力、行動力)を正しく発揮できるか否かによって、人生はかわってくるでしょう。
 授業で学生によく尋ねる事の一つに、「学習したことをベースに自信で何かを創成してみて」と投げかけます。レポート課題にすることもあります。回答に正解も不正解もありません。豊かな発想を示す学生、ありきたりな記述の学生、ほぼ白紙の学生に分かれます。授業では時折、自身の体験を通しての発想事例について解説したり、ブレーンストーミングで学生全員が楽しく発言する場を設け、2分以内でスピーチするといった事も行ったりします。学生には是非とも身に着けて頂きたい能力であり、身に着けさせて送り出すのも教育に携わる方々のミッションの一つと思っています。
 最後になりますが、記述しているうちに創造力豊かな人の特長を調べてみたくなりネットで検索したところ以下の記述がありましたので紹介させて頂きます。
1.自分の感覚を信じている。
2.人と違うことを気にしない。
3.多くの角度から物事を見る。
4.違う意見を受け取れる。
5.地位に縛られない。
6.お金に縛られない。
7.インプットが上手。
8.独自の世界観を持っている。
9.自分と違う意見にも共感。
10.純粋な心を持っている。
 自己診断ですが、自身は概ね当てはまっているかな…っと(笑)
 では、創造力を鍛える方法はなにか…私はシンプルにポジティブに何でも興味を持つ、やってみよう精神ですが、調べたところ以下の記述を見つけました。共感できます。
1.自分と違う意見の人と話す。
2.ひとりで考えない。
3.気がついたらすぐにメモする。
4.行動してみる。
5.意見を積極的に聞く。
6.新たなことを始める。
7.自分に制限をつけない。
8.深く探求する。
 
以上、参考になれば幸いです。

渡邊充広

 

改革素案
関東学院大学 材料・表面工学研究所
特別栄誉教授・顧問 本間 英夫


 教育機関としての魅力を高めるべく以下に示す改革の考え方を実行していただきたい。先ずは、これまで推進されてきた改革改善を踏襲していくことが基本であるが、これまで“特色ある学院づくり”、“選択と集中”と改革を進められてきており、その考えに沿って、学院全体の改革を実施していかねばならない。本学院は私が学んでいた半世紀前までは“英語の関東”と言われ、貿易都市横浜のミッションスクールとして名を成していました。今まさに国際化の中で、コミュニケーションツールとして実学をベースにした英語を駆使できるような教育を推進していかねばなりません。この“英語の関東”を復活させれば、幼稚園から大学院まで総合学園の魅力が大幅に増します。すでに、六浦中高は「英語コミュニケーション力」向上のモデル校として位置付けられている。また、大学においては各学部で海外との交流や国際会議が開催されるようになり、『英語の関東』の復活により国内は勿論のこと、いろいろな国から学生、研究員が集える学院に変貌していくでしょう。学院は開学以来、キリスト教に基づく建学の精神の下、教育が実践されてきていましたが、五十数年前の学園紛争以降、若干形骸化しているように感じています。各種の行事や会議の冒頭にお祈りする習慣や、チャペルの活用などを通してキリスト教に触れる機会を増やし、実質的に本学院の建学の精神を実践していかねばなりません。

改革事項
1.学園紛争前のようなキリスト教をベースにした心豊かな学園の復活
2.英語の関東の復活;全学部に英語による実学教育。学院全体を通して各専門領域の外国人教員の採用(国立大学では近年積極的に推進している)
3.付属高校からの大学への進学率アップ→付属校の教職員、生徒、父兄から大学の研究教育に魅力があると認識されれば、自然に進学率はアップする。
4.幼稚園から大学までの緊密な連携 先生方や学生、生徒の交流
5.大学および大学院教育の充実
理工学系の単科大学では、大学院まで進学する体制を構築し50%以上博士前期課程に進学するよう努力されており、90%以上進学する大学もあり就職もほぼ100%。残念ながら本学は大学院進学率が20%にも満たないのが現状。他大学の学生の多くは大学院まで進んでおり、本学の学部卒の就職は芳しくない。博士前期課程までの6年間一貫教育、または他大学で採用し始めた学部3年で学士の資格を取らないで飛び級(5年間)で修士修了とする方法、高度職業人養成プログラム(BP)などを活用し研究教育に力を入れないと、ますます教育力、研究力が低下し、学院が淘汰されていくと危惧する。昨年度は理工学部の大学院への進学率が10%程度と聞いておりますが、理工系では大学院の進学率を上げることが喫緊の課題である。文系の文学部、経済学部、法学部はすでに大学院が設置されているがさらに充実させるとともに、栄養学部、看護学部、人間共生学部に大学院を設置する必要がある。
6.教員採用方法の見直し→○合の資格を持った教員が少なくなってきており大学、大学院のダウンサイジングが余儀なくされている現状を改善していく必要がある。
7.特約教授の見直し、貢献度に応じて定年の短縮または延長。大学教員のさらなる学会活動、社会貢献活動の促進→所属学会やその他社会活動での貢献
8.教員は評価を嫌う傾向があるが、教員間での適度な競争と協調が必要であり”ぬるま湯体質”からの脱却、意識変革が必要
9.国際交流、海外展開;グローバル化に対応した人材育成
10.改革のスピードアップ→事務組織のスリム化、効率化。フットワークよく迅速に
11.外部資金の獲得
本学は他大学と比較して外部資金の獲得が少なく、今後はさらに科研費,JSTプロジェクト,NEDOプロジェクト等の獲得に向けて、教員一人ひとりの力を付ける。それには学部横断的な研究プロジェクトや大型プロジェクトの推進を。外部資金獲得に向けて申請業務に長けた人の配置が必要
12.神奈川県,横浜市など地域との密接な連携
地域社会への貢献を目的とした研究活動を神奈川県産業技術センター,横浜市工業技術支援センター、神奈川科学技術アカデミーとの連携強化→これらの研究機関のトップからは連携を強く要請されている。
13.産学連携の推進:本学は産学協同のルーツであり材料・表面工学研究所を初めとして、設備工学研究所、工学総合研究所、プロジェクト研究所等を核としてさらに発展させねばならない。さらには経済経営研究所、人間環境研究所、企業倫理から法学研究所、キリスト教と文化研究所、人文科学研究所との連携も。海外研究拠点との連携,また海外研究拠点の形成
14.材料・表面工学研究所は現在全国の関連企業六十数社と契約しているが、さらに潜在的に100社以上契約してくれる下地がある。利益相反にならないように契約企業を精選し契約を進めている。産業界では短期的な利益追求から、技術の伝承の重要性が認識され、社会人の再教育の要請が高まってきている。
15.大学院前期および後期課程の充実:高度技術者の養成に注力。特色ある大学院づくりとしては、高度技術者養成を目的として例えば博士後期課程として材料・表面工学院(材料・表面工学専攻)が3年前に開設され毎年、企業から5、6名入学、来年もすでに産業界から博士後期課程への進学希望者が数人。外国からも希望者があり。

その他
 大学へ入学後、自分のやりたい方向性を見定めることが出来ず、中途退学するケースが最近多いようである。⇒大学の学科の明確化(何をやるのか、どういうことを教えるのか)、大学が大衆化してきているので、実学を中心とした人材育成をアピールし、実践していけば自然に就職率は上がる。これまで就職は就職課に任せるとの傾向がどこの大学でも強かったが、教授推薦が、より確実にその企業に適した人材確保が出来ると認識されるようになり、各企業では特別枠を持っている。手前味噌になるが現役時代の研究室の学生は就職率が100%で就職課には殆ど依存しなかった。
 本学で学んで良かったと学生が満足し、産業界からも好評価が得られるような教育研究を実行していけるように、先生方の意識改革が必要である。最近本学の学生は能力不足と初めから学生との研究を諦めている教員が多くなったと聞くが、実学的な領域に重心をおき、研究環境を整えれば学生は大きく成長する。

 学院には多くの教育力と研究力に優れた先生方がおられる。是非その方々が「人になれ奉仕せよ」「サーバントリーダーシップ」の精神で活躍いただきたいと願っている。
 私自身は父親がクリスチャンだったので、日基傘下の幼稚園で教育を受け、さらには中学まで日曜学校に行っていました。本学への進学は親が勧め、教会への出席、聖書研究会、寮生活での御祈りなど豊かな学生生活を送りました。また教員になってからも、キャンパス内の暮庵で毎週旧約聖書から新約聖書まで聖書を学び、数十年に渡って牧師として仕えられていたデユローフ先生からは帰国される直前まで洗礼を勧められました。しかし、学生時代から第二恩寵の恵みがあると聞いていましたので、未だに洗礼は受けていませんが、愛をベースに教育にあたってきているつもりでおります。以上ごく常識的内容ですが、殆ど資金の投下をせずとも大きく改革できます。上記の提案を参考にされ実行されることを願っております。

今、想うこと
関東学院大学 教授
関東学院大学 材料・表面工学研究所 副所長
香西 博明



 新型コロナウィルスの影響で生活がめまぐるしく変わり、今まで普通にできていたことや、気にもとめなかったことの貴重さやありがたさ、大事さを感じることが増えているように思います。

1、「介護」どう支えるのか
 新型コロナウィルス感染症の拡大で、高齢者や基礎疾患がある人が、もし、新型コロナウィルスに感染すると重症化リスクは高いとされています。国内の一部の老人保健施設や特別養護老人ホームではクラスター(感染者集団)が発生し、死亡者が相次いだことも報告されています。では、現場の対応はどうだったのでしょうか。
 私の母が入所していた介護施設では、2月から面会時間は短時間に限られ、3月には面会ができなくなりました。そのまま母との楽しい会話もできず5月1日に亡くなりました。それまでは、毎週、家族で面会に通っていましたが、亡くなる前の2ヶ月余りは電話をかけて施設職員から状態を聞くことしかできませんでした。もちろん、介護における新型コロナ対策については理解しています。でも、認知症などを抱える高齢者は特に人間的な触れ合いが欠かせず、対面を意識した対策を考えて欲しかったです。最近の施設においては、利用者と家族が会えない状態をなるべく避けるため、オンラインの面会などインターネットの活用が進んでいることを聞きました。利用者も交えてみんなが知恵を絞り、感染症の知識と理解を深めながら、今後の高齢者向けの介護サービスのあり方について、取り組んでいくことを期待しています。

2、コロナの日々から学ぶこと
 新型コロナウィルスの影響で、多くの大学の授業がオンライン中心となっています。学生たちはキャンパスへの立ち入りを制限され、不自由な大学生活を送っていることでしょう。ここに来て感染が再拡大の傾向を見せたため、秋からの後期(秋学期)の授業も原則オンラインとする大学も多いようです。学内施設の利用も制限され、サークル活動などができないケースも生じていて、学生からは不満の声は上がっています。心配なのは、学生が大学で学ぶ意味を見失い、学業を放棄することが出てこないかということです。学生諸君の健康を守りつつ、意欲をそがない対策が求められます。一刻も早く感染拡大が収まって欲しいです。
 長期の休校措置がとられた小中高校では、遅くとも6月には学校が再開されたが、8月上旬には1学期が終わりました。年度初めから先の見えない日々が続きました。3密(密閉、密集、密接)の回避、手洗いやうがいの徹底、換気や消毒など、できうる限りの対策を続けてきました。特に、学校内外に限らず“新しい生活様式”として最も定着したのがマスクの着用です。学校生活でも、マスクの着用が当たり前となり、教員も生徒もマスク姿のまま過ごす日々であり、お互い先生、生徒の素顔を知らないまま1学期が終わりました。異常な日常になりつつありますが、早く素顔で話し合える日々が来ることを願うばかりです。
 そして、新しい生活様式に合わせ、「Zoom」などのインターネットのウェブ会議システムが多くなりました。先方の指定する場所まで移動する必要もないし、自宅にいても会議ができます。確かに、無駄は少ないだろうが、今、雑談をする機会が減っています。
雑談は人と人をつなぐために大切なものように感じています。そこには、思わぬ発見に遭遇する時もあります。それが、最近では、いつも余計なことをしゃべらずに、時間が経過し、ウェブ会議システムが終わると、終了ボタンをクリックすると、一瞬でパソコン画面に戻ります。余韻の残らないため息のみの毎日です。
 春先にあれだけ「ない、ない」と騒がれていたマスクが、今は、どうでしょうか。
常時、店頭に並ぶようになりました。夏の暑さでも不快にならない冷感タイプもあり、あの大騒ぎが嘘のようです。その中、とても気になってきたのが路上に落ちているマスクです。以前はみんながのどから手が出るほど欲しがっていた不織布マスクです。マスク自身、どのような人生を送ったのでしょうか。緊急事態宣言中は、マスクの捨て方もよくニュースなどに取り上げられていました。それなのに、このような無神経な行動が出てきてしますのは、とても残念です。新型コロナウィルスの感染症が再び増加している今、一人一人が基本的な感染対策を見直し、注意深く行動をしていくことが大切だと、思います。さらに、感染拡大防止に必死である中、少しでもプラス情報をという気持ちなるのは十分理解できますが、大阪府知事が発したうがい薬推奨のメッセージはどうでしょうか。その根拠となる研究内容などについて専門家から批判が相次ぎました。その上、うがい薬が薬局から消え、歯科医でも入手が困難となりました。一刻も早い収束を、とはやる気持ちはとても分かりますが、もう少し考えて欲しかったです。

3、球児の思い、心から拍手を・・・
 「甲子園高校野球交流試合」が8月17日をもって全日程を終えました。春の選抜高校野球大会の出場32校による交流試合は8月10~12日、8月15~17日の6日間、阪神甲子園球場で行われ、選手や関係者から新型コロナウィルス感染者を出すことなく無事に終了しました。第92回選抜高校野球大会、第102回全国高校野球選手権大会と初めて春夏連続で甲子園が中止となり、今夏、あの歌は甲子園球場の入場行進で流れませんでした。
 ♪雲は湧き 光あふれて 天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ♪
 全国高校野球選手権の大会歌「栄光は君に輝く」で、NHK朝ドラ「エール」の主人公のモデル、古関裕而さんが作曲した曲です。きっと、試合を渇望していた選手たちにとって、充実感が漂う日であったことでしょう。1試合限定の戦いを「決勝」に例えるチームもあり、やはり敗戦に涙する球児たちの姿もありましたし、彼らは全力で応えたことと思います。試合は、密集を避けるため一般客は入場できませんでした。開会式は開幕試合に登場する2校だけで行われ、例年のように全校が入場行進もありません。検温や消毒、滞在日数の短縮などの感染防止策もとられました。応援団のいないアルプススタンドや人っ子一人いない外野席を見るにつけ、はたして元の姿に戻るときがこの先やって来るのだろうかと思ってしまいます。今年は、部活動に取り組む中高生の全国大会が軒並み中止となり、生徒らには割り切れない思いが募ったに違いないでしょう。だが、さまざまな形で発表の機会を作ろうと、各地で関係者が力を尽くしてくれました。高校野球はすべての都道府県で独自の大会が開かれました。長梅雨で日程を消化しきれず、途中で打ち切りになった大会もありましたが、部活動の集大成の場が設けられたのは救いとなったことに違いありません。交流試合において、花咲徳栄(埼玉)の野球部主将は選手宣誓で「一人一人の努力が皆を救い、地域を救い、新しい日本を創ります」と力強く語ってくれました。
 今年は、異例づくしの特別な年であります。だが、限られた環境の中でも、知恵を絞って新しいあり方を考えることで、前に進めることの大切さを感じました。 
 

愛犬たちとの生活とペットロス、そして読書
関東学院大学 材料・表面工学研究所
田代 雄彦

 
 「愛犬コーギーの長兄ミックが本日4/25の2時過ぎに亡くなりました…」と2016年にFacebookに投稿してから早くも4年が経ちました・・・。
 今から15年前に入籍し、奥さんに連れられてミック(♂3才;ウエルシュ・コーギー・カーディガン)が新居に越してきました。
 私は結婚して初めて犬との共同生活でした。結婚記念日が5月1日で、同時に自宅を購入したので、ほぼ11年間ミックと暮らしたことになります。元々イヌは嫌いでしたが、ミックはすごく性格が穏やかで、私にすごく懐いてくれたので、今から考えると、とても楽しく癒された大切な11年間でした。
 同居して直ぐに共働きでしたから、ミックが家で独りは可哀そうとの事で、7月にこゆず(♀0才;ミニチュア・ダックスフンド・ロングヘアー・ブラック&タン)をブリーダーから購入し、その翌年、近所の犬を救うNPO法人から保護されたばかりのサンタ(♂推定3才;ミニチュア・ダックスフンド・スムースヘアー・ブラック&タン・パイボールド)を引き取りました。さらに、翌々年の正月に出掛けたスーパーに併設されたペットショップで、私が一目惚れしたラクマル(♂0才;ポメラニアン・パーティカラー)を迎え入れ、あっという間に愛犬四匹に囲まれた生活になりました。
 
~~~奥さんの実家の父親の病状が悪化し、施設に入る事になり、娘の名前を忘れた状態でも、当時一緒に住んでいたミックだけは覚えている様で、最後に会わせてあげたいと言われ、急遽、週末の4/23に奥さんの実家のさいたまへクルマで向かいました。私は奥さんと愛犬達とクルマを残し、逗子に電車で帰り、翌朝迎えに行く予定でした。別れ際に、ミックはいつもと同じ笑顔で元気にお見送りしてくれました。
 ミックはてんかん発作を抱えており、毎食時に予防のお薬を飲んでいました。
 4/24の早朝6時過ぎに、ミックが発作を起こし、普段は1回でケロッとするところ、四回も続けて発作を起こしました。奥さんの姉さんに連絡し、板橋の24時間救急をやっている動物病院へ運びこみました。
その時、私は既に電車でさいたまへ向かっていたのですが、連絡を受け、途中下車し、病院のある常盤台へ向かいました。
 合流して、病状をきくと発作により体温が異常に高くなり、点滴と一緒に濡れタオルを全身に掛け、扇風機で体温を下げる措置がとられていました。
 犬は肛門に体温計をさして測りますが、ナント43度以上で測定器のエラーが出たとのこと・・・。その後、1度奥さんの実家に戻り、愛犬3匹と奥さんをクルマに乗せ、再度病院に行きました。
 担当の先生に伺うと、体温は39度程度に下がりましたが、オシッコが出てないとの事でした。でも、体温が下がったので少し安堵し、翌日仕事のため一路逗子へ戻りました。
 夕方、奥さんの姉親子が面会に行くと、呼び掛けると返事をしたそうですが、先生曰く、肝臓が機能していないとのこと。移動するなら、今という事で、姉のクルマに乗せ、ミックは逗子の我が家に戻ってきました。
 直ぐに掛かりつけの獣医さんに自宅に来てもらい診察。未だ、少し痙攣は出ていましたが、体温はほぼ正常に。窒息しない様に頭を高めにして、手や足や鼻筋などを奥さんと二人でさすってあげました。大好きなお家に戻って来たのが分かったのか?眼に力強さが出てきました。獣医さん曰く、状態を詳しく知りたいので、採血し1度病院に戻り検査、エコーと点滴の道具を持ってくるとのこと。
 獣医さんの戻りを待つ間、痙攣はおさまったのですが、呼吸が少し荒く、眼から力強さが無くなっていきました・・・。
 獣医さん到着と同時に機器の搬入、血液検査の結果、酷い脱水症状と低血糖との事で、早速、点滴開始。肝臓の数値は高いけど、機能しない程では無いとのこと。エコーにもオシッコが少し写りました。
 点滴とブドウ糖を注入開始すると、次第に目が潤み出し、力強さが戻ってきました。24時頃に獣医さんは帰宅、点滴の終わる翌朝8時頃にまた来るとのこと。
 24時の体温が39.8度、少し高いので冷媒で身体を冷やす。
 翌日1時の体温が39.2度で、正常な38度後半から39度前半に入り、一安心。呼吸も荒く無くなってきたので、少し休もうと…。
 インコが突然バタバタと暴れた音で目覚めると2時19分。
ふと見るとミックの様子に異変を感じ、触ると呼吸をしていませんでした・・・・・・。
 ミックはあと11日で満14歳の誕生日でした。誕生日にはパーティをしようと奥さんと以前から話していました。また、コーギースタイルという専門誌に3歳と9歳で掲載されたので、次は14歳で!と勝手に盛り上がっていましたが…、私たちの願いは届かず・・・(泪)。
 犬にも人にも、優し過ぎるミックが大好きでした。そして、私の笑顔の先生でもありました。
 上述のNPOの方が言っていたそうですが、一生懸命に愛情を注いだ犬は穏やかに死んでいくそうです。ミックもそんな感じで、苦しまずに天国へいきました。歳を重ねて二人とも覚悟はしていましたが、死は突然やってきます。
 ミックが私たちに教えてくれたことは、
 毎日(今を)一生懸命に生きること! たぶんそうだと思います。
 
 今朝、いつもと同じ時間に、習慣であるミックとの朝の散歩コースをゆっくりゆっくりと一人で歩いてみました。時間を計ると僅か8分!
ミックとの散歩はその3倍以上は掛かりました。ミックと一緒に過ごす時間は私にとって三倍濃かったんだ!と実感しました・・・(涙)。
 これからは、奥さんと愛犬・愛鳥たちと3倍以上濃い時間を過ごしたいと思います。これまでミックに関わってくださった、沢山の方々に感謝します。ありがとうございます!~~~
 
こんな記事をアップしましたが、その後、「ふっ」とミックのいない虚無感にかられ、突然涙が溢れることが度々あり、ペットロス症候群であることを自覚しました。この症状は全然治る感じはありませんでした・・・。
 
 私は週に1冊のペースで色々なジャンルの本を読むのが趣味ですが、2017年12月末に発売された私の大好きな作家の一人である喜多川泰先生の「ソバニイルヨ」(幻冬舎)を読んで救われました。
 
 勉強が嫌いで、周りからどう思われているかばかりを気にして毎日生活している隼人。さらに、些細な出来事がきっかけで、仲の良かった友達との関係がもつれ、孤立することになってしまう。ある日、自分の部屋に帰ると、長期間不在になる父親が残していったAIロボット・ユージが居た。「ボクハ、ハヤトニ アイヲ ツタエル タメニ ウマレタ」隼人の弟として生まれることのできなかった『由志(ゆうじ)』と同じ名だった。
 ある日、クラスメイトの気になる女の子の愛犬デルピエロが死んで悲しんでいる話をユージにすると、「デルピエロ姿は見えないけど、いつもその女の子のソバニイルヨ」とアドバイスする。ユージはコップに入った180グラムの水分子の個数(6を書いて、その後ろに0を24個書く)を教え、その水が地球上に水蒸気となって全て均一に広がったとしたら、この部屋に何個の水分子があるか計算させる...地球の半径約6400キロ、地上の空気の層はカーマンラインで約100キロ、地球の大気の体積(立方メートル)は52の後ろに0が18個つく数、コップ一杯の水分子の数をその体積で割ると12万個、この部屋の体積は約50立方メートルだから、600万個の水分子がある、デルピエロの体重が6キロなら二億個の水分子、さらに水素と酸素の部品(原子)として考えるとその三倍の6億個...正確な数字は誰にもわからない。だけど、僕たちはアラユル原子に囲まれて生きているのは事実。そしてその原子は、これまでも色々なものに使われてきた。そう考えると、どこに行ってもデルピエロに囲まれて生きているって思えないかな。いつだってデルピエロはソバニイルヨ。今もデルピエロを作っていた6憶の原子に囲まれてる・・・
 
 確かにこう考えると、世界中どこにいてもミックに囲まれて生かされている自分の存在に気付きました。そして、突然涙が溢れてくることも少なくなった気がします。
 この本で、ユージは隼人にアイを教え、隼人は優しく、強くなって、大きく成長します。誰かの心に寄り添ったり、相手の立場に立って考えたり、両親や先生や友だちに感謝することをひと夏で体験します。私もミックにアイを教わったので、隼人のような気持ちの強い男になりたいと強く思いました。
 2017年12月27日、本の裏表紙に喜多川先生にサインを頂きました。
「自分らしくある強さを」
 人や言葉だけでなく、本との出逢いで人生が大きく変わることもあると体感させて頂いた一冊です。是非、皆さんもご一読ください。(了) 

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関東学院大学 材料・表面工学研究所
盧 柱亨


 今年の2月から突然世界を襲った新型コロナウイルスは、我々の生活に多くの変化を及ぼしている。「密閉」「密集」「密接」の3密を避け、社会的な距離を維持しながら感染防止に向けて、テレワークが進むようになっているが、あまりにも突然のことで充分な準備もなく、「テレワーク渦」に巻かれているとも言える。
 特に、テレワーク時代のコミュニケーションにかかせないのが「Web会議ツール」である。筆者も以前は、ほとんどスカイプでのビデオ会議しか使っていなかったが、突然訪れたコロナ禍によるテレワーク渦に巻き込まれながら、大学でのオンライン講義、国内外の大学や企業など研究協力先とのWeb会議ツールの導入から、その運用後の感想、Web会議に必要な通信ネットワークやデバイス、気になるセキュリティーの動向までWeb会議ツールの現況をまとめてみた。

<主なWeb会議ツール>
 Web会議や画面共有などの機能を備えるWeb会議ツールは、テレワークでの協調作業に不可欠である。
Web会議ツールは、多くのツールが発売されているが、世界的にアメリカ勢がとても強く、米Googleの「Google Meet」、米Skypeの「Meet Now」、米Cisco systemの「Webex」、米Zoom Video Communicationsの「zoom」、米Microsoftの「Teams」など5つのツールが多く使われている。
表1に、5つのWeb会議ツールの「使いやすさ」「繋がりやすさ」「セキュリティー」「無料プランの最大使用人数」「長所」「短所」を個人的な感想と周りの評判などをまとめてみた。
5つのツールの中で使いやすさと繋がりやすさで人気が高いのは、「zoom」であり、その次がCiscoの Webexでないかと思う。

・Google「Meet (Hangout)」は、GoogleやGmailのアカウントを活用すれば、手軽に使えるとの評判だが、画面共有の際、コンテンツのみ映すことができず、背景がすべて映るのでプライバシー保護ができない短所がある。
・Microsoftの「Teams」は、Windowsのパソコンには基本的にインストールされるものであり、パソコンの電源を入れた瞬間からビジネス・グループのチャットができるなどの便利な機能があるが、グループ構築が面倒なので、なかなか使えないアプリになってしまっている。
・意外と知られていないのは、Skypeの「Meet Now」である。おそらくSkypeの煩わしさの印象での不人気だと思うが、「アカウントの登録不要」「アプリのインストール不要」で一番手軽く使えるものであった。
 Meet Nowのホームページで、 1. リンクの生成 → 2. リンクの共有 → 3.クリックでスタート できる優れもので、しかも使用料無料で1通話24時間 まで可能であるが、最大接続が50名であることが唯一の弱点である。
・「Cisco Webex」は、zoomのセキュリティーの懸念からヨーロッパなどでは広く使われており、使いやすいが、朝10時や午後1時など会議を始める時間帯に、接続が遅れるトラブルに遭遇したことがある。Meet Nowより大人数でしっかりしたセキュリティーでのWeb会議をするためには、一番勧めたいツールである。
・「zoom」は、zoom飲み会などお洒落なイメージングで、iPhoneを使う人が好むツールの印象があり、一番使いやすいことは確かである。しかし、会社の根本とセキュリティーの懸念からは、あまり勧めたくない。Zoom Video Communicationsは、アメリカの会社であるが、Webexで14年間働いていた中国人のユアンCEOが設立した会社で、中国のサーバーを通すことに不安が残る。
 
<人気のzoomのセキュリティーの懸念>
 Zoom-bmbingと言う新造語が言われるほどのセキュリティーの危険性が問題視され、ヨーロッパ諸国やアメリカ国内で使用を禁じる機関が続出し、しまいにはFBIが乗り出すことになった。
Zoomは、「End to Endの暗号化」を主張していたが、カナダ・トロント大学のCitizen Labが調査・発表した結果によると、zoomは「End to Endの暗号化」をサポートしていないことが明らかになった。
「End to Endの暗号化」は、利用者以外は情報を復号できない暗号化に指す。Web会議なら、会議の参加者だけが暗号鍵を共有し、やりとりする情報を暗号化および復号する。サービスの提供者であっても情報を復号できないことが当然である。しかし、zoomは、実際はzoomの鍵管理サーバーが暗号鍵を生成および管理し、会議の参加者に送っているという。zoomは、やりとりする情報を復号できるのである。

 図1に示すように、73ある鍵管理サーバーのうちの5つが中国に設置されているようだとしている。そして、中国以外にいる参加者同士の暗号鍵が、中国の鍵管理サーバーから送られていたという。中国の鍵管理サーバーの暗号鍵が中国政府当局と共有された場合、ビデオ会議の内容が中国政府当局に筒抜けになる恐れがある。これについてzoomは、中国のサーバーを増強した際の設定ミスと説明し、現在ではこの問題は解消したとしているがどこまで信憑性が欠ける。暗号化に使用しているAES(Advanced Encryption Standard)の鍵長は256ビットだとzoomは説明していたが、実際には128ビットだったことが明らかになった。暗号文においても、一般的なCBC(Cipher Block Chaining Mode)を使わず、平文と同じパターンが現れるECBを使うのも気になる。
 専門用語のオンパレードでわかりにくくなったかも知れませんが、 Zoomは、以上のように暗号化が強固とは言えないので、各国の政府機関や機密情報を扱うことが多い企業がzoomの使用を禁止しているのは十分納得できる。
しかし、Web会議をしたい相手がzoomしか使えない環境で仕方ないと判断された場合には、拒否をするよりもzoomのセキュリティーの懸念をしっかりと認識したうえで、zoomを使用することも良いかもしれない。
・機密情報は、他の手段で相手と共有する。
・ビデオ会議を識別するためのミーティングIDを公表しない。
・会議の参加にパスワードを設定すること。
・参加者を事前にチェックできる「待機室機能」を使うことも効果がある。

 <Web会議に必要な三拍子>
 上記では、Web会議のツールについて話したが、Web会議を円滑に行うためには、「ハードウェア」「通信ネットワーク」の三拍子を看過してはいけない。Web会議のツールのほとんどは、パソコンのみならずスマホでもWeb会議ができるように開発されている。しかし、複数の人が3密を避けるための距離に離れて1台のデバイスを共有する場合には、音声と映像の送受信するためのデバイスの選びも重要な要素である。最近、ほとんどのノートパソコンに付いているカメラやマイク、スピーカーでは、音量が小さくなったり、人の顔がよく映らなかったり、モニターの上に設置可能なWebカメラだけでも同じ問題で困ることもある。そのためには、Web会議に特化された高性能のデバイスに大胆な投資も必要と思う。また、今回のコロナ禍で3密の環境であるコールセンターの950名をテレワークに切り替えた、ある保険会社の例を見ると、Web会議ツールと同じく苦労したのがネットワークの確保であった。Web会議に使われるデータ通信量は、1時間に1GBほどに及ぶためネットワークの負荷も多く通信大乱に陥る寸前だった。また、コロナ禍によりアルバイトの場を失った一人暮らしの学生がオンライン講義を受講するためにスマホのプランをデータ使い放題に切り替えるための負担も大きかったのだろう。
 このように、なかなか収まる気配のないコロナ禍によるテレワーク渦に対して、今まで考えていなかったこと、今までやったことのないこと、これから行うべきことなど頭が複雑であるが、ある自動車会社のCMにちなんで「やっちゃえ・ニッポン!」と、みんなが力を合わせて頑張れる手段としてWeb会議が活用できればと思う。