携帯電話四千万台突破

関東学院大学
本間 英夫

 携帯電話の契約台数は四千万台を突破し、若者の必携アイテムになりました。機能も益々充実し、とどまるところを知らない勢いです。若者は単に便利なものを使っているだけですから、彼らの望むであろう機能をどんどん付加していけば、それ以前の製品は陳腐化し新製品がジャンジャン売れることになります。
 商品としてのハードの寿命はきわめて短期で、この分野の関連産業は超多忙の状況です。学生の中にもこれで三台目で、また新しいのに変えようかなと言っているものもいます。昔レコード、今CDのヒットと言えばせいぜい二~三百万枚でしょう。これと比較しても超大型商品なわけです。パチンコ産業が数兆円の産業と言われておりますが、これと比較してもハード面でも特にソフト面でも桁が違ってくるでしょう。
 しかし、古くなったハードとしての携帯電話は、どのように処置されているのでしょうか。現在は未だ、使い捨てカメラの初期段階のような状況で、そのままゴミとして捨てられているのではないでしょうか。携帯電話としての機能が限界まできたところで、リサイクルの考えを入れるようになるでしょう。しかし、現在は各社が競って機能のアップに専念しています。
 中身の半導体を初めとした、各種の電子部品は益々小さく、配線ラインの幅はどんどん小さくなり間隔は益々狭くなってきています。技術と要求のテンポに乖離が出てきており、したがって、商品化にあたっての歩留まりは低下し、関連の技術者は毎日悪戦苦闘なのではないかと推察いたします。
 配線板に関して各領域でのロードマップ作りの委員として、昨年から参画してきましたが、先日ドラフトができあがり、本年の後半にはリリースされるでしょう。ロードマップ作りにおいては、あくまで将来予測ですから、技術がそれについていかない限りは絵に描いた餅になります。この分野の技術開発テンポがその要求に応えていけるのか、多少心配なところもあります。
 確かに作動を司るCPUの処理速度、およびそのハードの製造プロセスは確立されていますが、周辺の技術が果たして追従できるか心配です。最近、めっき技術がこれらを製造する上での要素技術として注目を集めていますが、技術者の養成が出来ていないのが現状です。「頭ではこうすればこうなるぞとマップはすでに描かれているのですが。」
 技術にはマッチングが不可欠で、メインの技術ができあがっていても、その周辺の技術がそこまでの水準になければ対処できません。めっきを中心とした技術水準を向上させる体制を、固めて行かねばならないところにきています。今までは材料を薬品メーカーから仕入れ、装置を装置メーカに発注して、ほとんどが業者任せで何とか製品を作ることが出来ましたが、これからはお互いの技術力やノウハウを持ち寄って、強固な協力体制の下に進めていかないと益々困難な壁にぶちあたるでしょう。
 それと忘れてはならないのはクリーン技術です。リサイクルを始め、環境に優しい物作りを設計の段階から製造最終製品までの、プロセスすべてについて考慮しておかねばならないでしょう。

プリペイド携帯電話は成功するか?

 最近携帯電話に関して新しいビジネスが出てきました。プリペイド(前払い)携帯電話です。プリペイドカードをヒントにした新しい手法です。関西では昨年の十月にすでにプリケーという名前で発売されているとのことです。関東ではテレコムサービスが「プリペイドもしもしフォン」という名前で販売しているとの事ですが、学生に聞いても誰も未だその商品を知りませんでした。
 五月の初めに、ツーカーセルラー東京が参入し、認知度が大幅に上がる可能性があります。(ひょっとしてこの原稿が皆様の手元にはいるのが8月下旬になりますから、もうこの話題は陳腐なものになっているかも知れませんが。)参入業者の市場開拓戦略が大きくこの商品をのばせるかにかかっているのではないでしょうか。
 システムや料金は業者によって若干の違いはあるようですが、プリペイドの専用カードをコンビニエンスストアか代理店で購入します。そこに印刷されているカード番号を専用の携帯電話からセンターに登録した後は、プリペードカードに支払った金額の通話が出来る仕組みになっています。
 この商品の利点は、契約時に面倒な手続きがいらいないようです。まず専用の携帯電話を購入しなければなりませんが、加入手数料は無料、身分証明書も銀行用の印鑑もいりませんし、名前を尋ねられることもなく、解約の手続きも一切不要です。短期の使用者や短期滞在の外国人にも便利でしょう。
 ここで問題になる専用の携帯電話の値段が、充電器や付属品付きで、なんと一台480円、また、解約して使用していない電話があれば、無料でプリペイド式に変更してくれるとのこと。携帯電話も使い捨てカメラ並に、手軽に買える時代に入るのかも知れません。
 そういえばこれに類似したプリペイド方式で、国際電話がどこからでも、どの電話からでもかけられる方式が、もうすでに何年も前から米国で採用されています。それこそコンビニエンスストアのようなところ(私は大学のキャンパスで購入しましたが)でカードを買い、そのカードにはマスクされた番号が記載されており、その番号を業者の連絡先にプッシュホーンで連絡すれば、即座に国際電話が出来るものです。これはATTがやっているのではなくインターネットを介した業者が、デジタル回線でつなぐ方式のもので、一般の電話を利用するよりも五倍くらい通話できたと記憶しています。米国に出かけられたら是非試してみて下さい。

オペレーティングシステムとは

 コンピューターを作動させる心臓部分の制御を行う基本ソフトのことを、オペレーティングシステム(OS)と呼ばれています。ユーザーである我々が、コンピューターの利用を出来るだけ容易にするために作成されたソフトで、かの有名なビルゲイツが開発したWindowsやMac―os、Dosなどがあります。
 コンピューターの心臓部を握るということは、コンピューター産業の鍵を握ることになります。この基本ソフトのOSの上で特定の目的のために動くのが、アプリケーションソフトと呼ばれ、一太郎やワード、エクセル等多くのソフトが市販されています。我々のような実際のコンピューターの使用者は、アプリケーションソフトを利用しており、OSを利用しているわけではありません。いわばOSは黒子のようなものです。
 OSはコンピューターの機種や部品に関係無しに汎用性を持たせており、作動心臓部を握っていますので、いくら望むアプリケーションソフトを持ってきても、この基本ソフトを使用しない限りは、全く作動させることが出来ません。したがって、ビルゲイツを代表とするマイクロソフト社がOSの分野で圧倒的なシェアーを持っており、アプリケーションソフトの分野においても多くのソフトを提供しています。当然の事ながら、莫大な利益をあげることが出来るわけです。
 しかし、昨年UNIXという言葉がよく出るようになりました。このソフトは、玄人向けのものでコンピューターに詳しい連中はかなり以前から使っていました。これもOSの一種で、AT&Tのベル研究所で開発されたものです。
 そもそもベル研究所が企業と共同で、ひとつの大型コンピューターを、複数の人間で使うためのOSを開発していたのですが、失敗に終わりました。ベル研究所の二人の研究者が、その反省を活かし、新たに開発に着手したのが始まりだったそうです。しかし、UNIXは使用するコンピューターのスペックが高くなければならず、またネットワーク使用を前提としていますので、その方面以外での他のOSの開発が進められてきました。やがて、パソコンの高機能化、高速度化、大容量化が進み、PC―UNIXと呼ばれるパソコン上でも作動するUNIXが世に出て大変なブームになりました。
 その中心になっているのが、LINUXと呼ばれるソフトです。九一年にフィンランドヘルシンキ大学の学生によって、その基本となる核がインターネット上で公開され、全世界に広がりました。マイクロソフトが独占してきた市場の中に、「OSは公共財であり,広くオープンにすべきである」との観点から、インターネットを介して世界中に、このテキストベースのプログラムコードが配信されました。各国で活動が開始され、ユーザーが実行ファイル形式に変換し、全世界で七百万人以上が使用、改善をしているとのことです。企業が数百人で創るのと、その数万倍の一般ユーザーが創るのとでは商業的な外見においては見劣りしても、機能面は痒いところに手が届くといったところでしょうか。
 UNIXをベースにしているので、ネットワークのサーバー分野では威力を発揮しています。したがって、昨年の後半頃からLINUX対応の製品が発表されだしました。米国では、IBMを初めとしてインテル、ネットスケープ、コンパックなどが対応しています。日本でも日本IBM、日本ヒューレッドパッカードなどが対応し、どんどん広がりをみせています。

ナビゲータは便利ですよ

昨年十一月景気が最悪の時、一人でも景気浮揚とばかりに、ナビゲーターが純正品で付いている車を購入しました。ナビゲーターは、ドライバーがそれに集中してしまい、事故率が高くなるとのデーターが出ていますが、おそらく未だ使用法になれていない運転者の、事故率が高いだけなのではないでしょうか。 
 慣れてしまえばプラスマイナス数メートルの誤差範囲内で、目的地に的確に到着しますので、逆に事故率は低下すると思います。ただし、最近の機器はいずれもマスターするまでには、どうしても時間を要します。ナビゲーターを初めとして、コンピューターにしても、ちょっとしたハイテク機器はすべてに、機能を必要以上に付加していますので、取扱説明書が分厚く初めから読む気になれません。
 ナビゲーターもコンピューターのヘルプ機能のように設定が簡単になれば、機械に弱い年輩者も使うようになるでしょう。
 昨年までは地図を頼りに、初めての場所へ出かけるときは緊張の連続でした。また途中で駐車して地図で確認したり、近くの人に場所を尋ねる必要がありましたが、全くその必要はありません。全国の道路網、農道や林道まですべて網羅されています。ディスプレーに示される道路地図を見なくても、音声案内を頼りにその通りに車を進めればよいのです。
 先日、サッカーの試合で筑波大学へ行きました。試合が一時から始まりますので、車で行くとしても、当日では朝早く起きて部員全員を集めて行動しなければならないので、試合の前日に筑波大学の近くの、最も安いホテルに泊まることにしました。ホテル探しは、インターネットを通じて行い、その中で一番安く、また大学に近いホテルを選びました。インターネットの情報には、電話番号と住所が出ていましたので、それを頼りにナビゲーターを設定しました。勿論、部員は誰もそのホテルを知りませんので、私が横浜から先頭にたち、四、五台の車をガイドすることにしました。目的地に着いたのが夜遅くでしたが、どうも音声案内通りにぴったり止まったのに、ホテルの場所がよく分かりません。そこで、その路上のコーナーに車を止め、そこから携帯電話で確認しましたところ、ホテルの案内の人は、説明に困っていました。なんと、こんもりとした木々に隠れてそのホテルが見えなかっただけで、ホテルの目の前に着いていたのです。
 これから更に、ナビゲーションのソフトのバージョンはあがるでしょうが、現在のものでも十分に的確に案内してくれます。運転に専念出来ますのでより安全にドライブできると思います。実体経済の浮揚のためにみなさんご自分の車につけましょう。