年のはじめにあたって

関東学院大学
本間 英夫

明けましておめでとうございます。一昨年は学術フロンティア、昨年は念願のハイテクリサーチセンター構想が採択され、また新進気鋭の小岩先生を迎えることができ、研究体制が整ってきました。さらには、東洋経済によりますと「本当に強い大学」の28位にランクされ、まさにこの評価に値するよう、教育と研究に専念します。本年もよろしくお願いします。

以上が昨年暮れにしたためた年賀状の文章である。一昨年は学術フロンティア、それに続いて、昨年ハイテクリサーチセンター構想が採択されたことで、ようやく大学の中が活性化されてきた。

実はすでに数年前から特に工学系の大学ではこの種のプロジェクトがたくさん立ち上がり本学は大きく立ち遅れていた。

3年前、大学院委員長に選ばれた当時は、表面技術協会の会長でもあり、協会の定期的な役員会や委員会が終了すると、折角だからとみんなで会費を出し合って懇親会を行っていた。当時は、国立大学の独立法人化をはじめ、文科省の研究費に対する予算配分が重点配分にシフトし、他大学の積極的な取り組みの様子に直に触れることができ、大きな刺激になっていた。

したがって、なんとしても本学で大型のプロジェクトを立ち上げねばと、大学院の委員長になって直ぐ若手の先生方に集まってもらい、刺激をしたものだ。しかし、この種のプロジェクトの立ち上げは、長自らが陣頭指揮を執らないとうまくことが運ばないものである。実際、役職に就くと、あれもこれもと、やるべきことが見えてくる。

先ずは、大学院生のポテンシャルを上げるにはと、外部の学会で発表することを義務付ける内規を作成することから始めた。これくらいのことは大学院として当たり前のことであるが、それでもかなり先生方から反対の意見もあった。しかし、いかなる領域でも学会活動が重要であると強引に説得し押し切った。

続いて大型プロジェクトの立ち上げ、これに関しては、これまで話題には出ていたが、いつも頓挫していた。本学では、当時は建設土木系、機械系、電気電子系、材料化学系に大きく類別できた。それぞれの系の連携が出来るところは大いに連携してもらうことにして、意識の高い先生方を中心に構想を練ってもらうことにした。建設土木系で学術フロンティアに1件、ハイテクリサーチセンターでロボット工学と小生の関連領域の表面工学部門の2件が候補として上がった。

そこで初年度は、学術フロンティア1件とハイテクリサーチセンター構想として、ロボット工学部門を1件申請することになった。我々の部門はすでに表面工学研究所を設立していたこともあり、ほかの部門のポテンシャルも上げる必要があった。結果は、学術フロンティアが採択になったが、残念ながらロボット工学は不採択であった。そこで次の年に、それではと小生がプロジェクトリーダーになり表面工学を中心としたハイテクリサーチセンターを申請し、採択されたわけである。

学部教育も「少人数教育を」と改革が進行している。これらが評価されて、本当に強い大学28位にランクされたのであろう。その他、大学院に関しては、学生の受け入れ体制や、教員の人事に関するいくつかの複雑で面倒な規定を改正し、風穴を開けることが出来たと自負している。企業経営も大学経営も同じだと思うが変革期にはトップダウンでフットワークよく、事にあたることが重要である。

昨年の株式市場

昨年は銀行の不良債権処理がほぼ終了、地価は下げ止まり、積極的な設備投資、デフレ脱却と景気は拡大基調で、景気の先行指標である株価は急上昇、日経平均株価は1年間で40%上昇し、ミニバブルとの指摘もある。

このように株式市場は空前の活況を呈したが、その背景には、海外投資家の日本株への資金配分の増加、さらには、インターネットで売買する個人投資家の急激な増加によるといわれている。しかし、東証一部の年間売買高を上場株式数で割った、いわゆる売買回転率で見ると1.48倍であるから、全上場株式が一年間で1.5回売買されたことになる。しかも、浮動株が売買の対象になっているので実際の回転率はその数倍以上ということになり、個人の投資家がインターネットを介して一日に何度も売買していることになる。

ということは、延べ人数としては確かに個人投資家が増えているのであろうが、急激に増えたわけではない。

企業の将来性に対して投資するのが本来の投資家としての健全なスタンスであるとすれば、ディートレーダーと称する連中のやり方は、マネーゲーム的で本来の投資ではない。この種の投機的な方法は、市場の活性化に繋がるであろうが、株式投資イコールギャンブルのように捉えられているようで、どうもしっくりこない。

それにしても、昨年秋口までは日経平均で一万一千円から二千円を挟むボックス相場のような状態から、その後急速な上昇ピッチ。本格的な反騰相場に入ったとの声もある。したがって、市場環境の大きな変化に市場インフラが対応できず、東証システムの障害、株の誤発注などのトラブルが多発した。売買システムの増強と信頼性の向上は急務である。

投資スタンス

いずれの証券会社も、顧客の獲得にいろんな特典を用意するようになってきた。年末にある証券会社からポイントが貯まっていますよ、一昨年分が失効になるのでと、わざわざ連絡があった。子供だましのような感じだったので、そのまま放置しておいたら、再度電話があった。インターネットを開いてみると、確かにかなりのポイントが貯まっている。

投資は長期スタンスで、頻繁に取引はしていないのに、なぜポイントが貯まっているのかと思ったが、預かり株式の評価額もポイントになっている。

せっかくだからと、大納会の前日インターネットから手続きしようとしたが、アクセスが出来ない。ほかの証券会社のHPはいずれもアクセスが出来たため、インターネットそのものが繋がりにくくなったわけではない。その証券会社単独のシステム障害であった。午前中で回復したことが、当日のニュースでも翌日の新聞にも報道された。その日は午後から出かけたので、翌日の大納会の午前中にHPを開き、手続きすることにした。ところが、またもや個人口座にはアクセスが出来ない。HPには「現在、繋がりにくくなっておりますが、しばらくお待ちください」と、2日間連続のトラブルで1時間後にやっと繋がり、手続き完了。大量の売買注文でシステムの遅延が原因とのことであった。その後下記のようなお知らせがHPに掲載された。

「昨年末の障害発生後、全オンライントレードシステムの総点検を実施し、システムの最適化及び増強作業を下記日程で行う事といたしました。作業に伴い、オンライントレードシステムのサービス停止を行いますので、お知らせいたします。直前のお知らせとなり、お客様には大変ご迷惑をお掛けいたしますが、何卒、ご理解の程よろしくお願いいたします。
オンライントレードサービスの停止期間
平成18年1月2日(月)20:00から1月3日(火)12:00まで」

安定した信頼性の高い市場運営に向けて、この種のトラブル解消や先ごろの誤発注、銀行の統合、顧客サービス向上などから、情報システム企業は受注に追われていることであろう。銀行関連、証券会社は2007年をターゲットにシステム改善の強化を急いでいる。
 金融、流通に強いシステム開発会社は、これから伸びるぞと4、5年前に関連株を購入したが、株価を見ていない間に購入時の半値になっていた。したがって、難平買いをかなり入れていた。株価は昨年末から動き出し、平均購入価格を上回ってきている。購入時のタイミングが重要で状況を察知し、銘柄を選択し長期保有すれば、大きく資産を増やすことが出来る。

定期預金の金利はほとんどゼロに近く、株価が高騰しているので、今年から直接投資をと思っている方もおられるであろう。すでに昨年の段階で、これまで低迷していた株価が平均で50%くらい上昇しているし、中には数倍になった企業も数多い。

投資のスタンスとしては、将来を予測、機敏に判断して銘柄を選ぶ、各領域のトップ企業を選ぶ、未だ殆ど注目されていない出遅れ株を選ぶ、資産株や株主優待制度の充実している企業を選ぶなどいろいろある。優待制度では、これまで経験したものに、ジャガイモ、新巻鮭、新米、自社の化粧品や自社製品セットが送られてきたのを始め、航空会社からの割引チケット、電鉄ではチケットおよび無料定期、ホテルの割引チケットなどバリエーションに富んでいる。