想像力・発想力・創造力
関東学院大学 材料・表面工学研究所
副所長 渡邊 充広
今年のゴールデンウイーク(GW)を自宅で過ごした方は多いと思います。私も性格に似合わずその一人です。普段は休日となると早朝からアウトドアレジャーに出かけてしまう性分のため、青空が恨めしかったです。インハウスの趣味にギターがありますが、何かこの機会に新たなことを思い40年ぶりにベースを押入れから出し弾いてみました。超初心者に逆戻りで、Youtubeを見ながら練習を始め今も続けています。趣味が一つ増えました。
夜になると楽器から離れ、ネットで気になる事を調べる事が多くなりました。コロナ情勢、財テク、次世代通信、デジタル医療、テレパシー、VR(virtual reality)、幽霊の存在、宇宙、UFO、光速を超えるには…とだんだんSFチックになっていました。
私の趣味の一つに小学生の頃から続いている天体観望があり、熱中時は天体写真を雑誌に投稿したりもしました。星を眺めながらいつも描いてしまう空想は、あの星へ行くには…とか、宇宙船の窓から見える星景を空想したり…とかは今でも星を眺める度に続いています。
GW中、私は夏の天の川の中にあるわし星雲(7000光年) とオメガ星雲(4200光年)へ望遠鏡を向け眺めていました。星を眺め始めた時点で私の星間旅行は始まり、光速で往復1万年以上かかるところをたったの10分足らずで往復してきました。光速をはるかに超えた速度で星間旅行を楽しんできたのです。勿論、物理学上ではありえないことで、想像というか妄想の世界です。
最近、VRがなにかと話題になっています。5G通信もVRにむけた準備であるかの如く解説していたTV番組も放映されていました。番組では、個人のアバター(化身の意味で、ネットワーク上の仮想的空間に自分の分身として表示されるキャラクター)により、仮想空間、仮想社会で活動するようになり、仮想的第二の地球が作られていくというものです。2009年に“アバター”という映画が放映され大ヒットしましたが正にその世界といった感じです。個人の意識や記憶は電子信号化され、AIにより処理された思考でアバターが仮想空間で活動するというものです。勿論、ビジネスもスポーツも恋愛もです。前記した私の星間旅行は、自身のアバターが仮想空間で旅をしてきたようにみる事も出来ます。
「人間は地球上で唯一想像しそれを創造できる能力をもつ生物である」と言われます。例えば、ドラえもんの小道具、放映当初は想像的小道具であり実現は夢物語と言われていましたが、いくつかは既に実用化されています。先日、FM横浜でドラえもんの小道具について話題になっていました。何が欲しいか…タケコプターが第一位でした。私はどう作るか運転しながら考えました。回転ペラは姿勢安定に使い反重力パワーを動力にできないか…とか。ちなみに私は“どこでもドア”が欲しいですね。ワームホールを使って空間移動、人体を光子へ分解、そして人体に再生できれば…とか想像と自問自答の悪い癖が出てしまいます。
記憶に残るアニメに1965年放映のスーパージェッタ―があります。1000年先の未来(2965年)から主人公がやってきた設定です。流星号というオープンカーと通信ができ、呼ぶとマッハ15で流星号がやってきます。2020年の現在、既に車との通信は確立され、自動運転、迎車も可能です。空飛ぶ車も検討されています。幾年後かには具現化しそうです。課題はマッハ15、時速に換算すると18360km/h、東京~ニューヨークを私の計算上では36分で移動できます!実現化を考えるとワクワクします。2965年はそんな社会なのかもしれません。もしくは前記した仮想空間が主体的な社会なのかもしれません。
勝手気ままに記述しましたが、想像力は願望の実現化への出発点であると思います。願望を現実化するということ、すなわち想像力は創造力に繋がる、と、私は思っています。想像力、創造力は人間に与えられた素晴らしい能力なのだと思います。
さて、同意語的なものに発想力があります。私見ですが想像力と発想力は似て異なるものという気がします。想像力は豊かだけど、それを自分の中だけのことにしてしまうのは妄想であり、発想力は、思い浮かんだ想像(考えやヒラメキ)を伝える能力も含むものと思います。さて、想像(発想)→創造→具現化にあたって大事なことは何か? それは行動です。すなわち行動がないとアウトです。いわゆる“絵に描いた餅“で終わりです。先ほどの流星号を実現化するとしたら…安全に行き来するにはどうすればいいか、誰でも買える価格にするにはどうすればいいか、材料は…、駆動力は…、制動力は…云々と研究、開発すべき点が見えてきます。課題解決に取り組むことは、創造、実現化に向けたスタートとなります。”千里の道も一歩から“です。前記が壮大し過ぎましたが、身近な生活、仕事においてもこれらの能力(想像力・発想力、創造力、行動力)を正しく発揮できるか否かによって、人生はかわってくるでしょう。
授業で学生によく尋ねる事の一つに、「学習したことをベースに自信で何かを創成してみて」と投げかけます。レポート課題にすることもあります。回答に正解も不正解もありません。豊かな発想を示す学生、ありきたりな記述の学生、ほぼ白紙の学生に分かれます。授業では時折、自身の体験を通しての発想事例について解説したり、ブレーンストーミングで学生全員が楽しく発言する場を設け、2分以内でスピーチするといった事も行ったりします。学生には是非とも身に着けて頂きたい能力であり、身に着けさせて送り出すのも教育に携わる方々のミッションの一つと思っています。
最後になりますが、記述しているうちに創造力豊かな人の特長を調べてみたくなりネットで検索したところ以下の記述がありましたので紹介させて頂きます。
1.自分の感覚を信じている。
2.人と違うことを気にしない。
3.多くの角度から物事を見る。
4.違う意見を受け取れる。
5.地位に縛られない。
6.お金に縛られない。
7.インプットが上手。
8.独自の世界観を持っている。
9.自分と違う意見にも共感。
10.純粋な心を持っている。
自己診断ですが、自身は概ね当てはまっているかな…っと(笑)
では、創造力を鍛える方法はなにか…私はシンプルにポジティブに何でも興味を持つ、やってみよう精神ですが、調べたところ以下の記述を見つけました。共感できます。
1.自分と違う意見の人と話す。
2.ひとりで考えない。
3.気がついたらすぐにメモする。
4.行動してみる。
5.意見を積極的に聞く。
6.新たなことを始める。
7.自分に制限をつけない。
8.深く探求する。
以上、参考になれば幸いです。
渡邊充広