コロナ禍で思ったこと

関東学院大学 材料・表面工学研究所
梅田 泰

コロナの感染者数
 2020年1月の末くらいからコロナの感染が中国の武漢を中心に始まっているというニュースが発せられ、香港を中心として東南アジアを周遊していたダイヤモンドプリンセス号にコロナ感染者が大量に出ており、横浜港に2020年2月3日寄港予定であったが、それが出来ず、最終的に3月1日まで下船できないという大きなニュースで日本でも大騒ぎとなりました。その間何人かの重症患者が亡くなるということでさらに世間は震撼しました。
 しかし、そんなことも印象が薄れてくるくらい、その後の感染は世界を巻き込んでいきました。現在の日本の累計感染者は令和4年7月の時点で1854.9万人、死亡者は35.9万人、世界の感染者は6億506万人、死亡者は648.5万人という統計が出ています。
 今迄のインフルエンザでの国内の死亡数は2017.9-2020.8で2.7万人ですから、それらに比べて約10倍の死亡者であったことになります。
 新型のウィルスでしたから感染が拡大し、死亡者が多くなることははしょうがないことかもしれませんが、死にたくないのに死んでしまった人にとって、一体どうなっているんだと思っていることでしょう。


日本人の危機管理に対する甘さ
 日本には既に細菌兵器の情報や、サリン事件の経験もあり、このような状態を回避する準備をしておかなければいけなかったにもかかわらず、ダイヤモンドプリンセスの乗客達は見殺し状態にも等しい状況で1か月近く船内に放置されていました。誰が悪いと言うことではないのでしょう。日本人の危機感の甘さが問題だと思いませんか。
 日本には周囲の共産国による脅威が迫っているのにも関わらず国会では、野党は目の前のほんの小さな内容に対して騒ぎ立て、片付けなくてはいけない大きな問題には声を上げません。上げているのでしょうが私達には響いてきません。それに輪をかけて国政選挙の投票率は定常的に低い。こんな状況で良いのでしょうか。
 
コロナへの対策
 コロナの話に戻ります。
 コロナの問題はなぜ発生から3年も経過しても未だに解決策が出て来ていません。
 ワクチンが効かないからでしょうか。今迄のインフルエンザでもワクチンは100%感染予防できているわけではありません。特効薬があるから感染したとしても大事にならずに済んでいます。そのような中でコロナに対する国内の特効薬の研究を国はどれだけサポートしていたのでしょうか。目に見えてのフォローが無いように見えます。
 塩野義製薬がコロナの対処薬を申請しましたが、特別使用の許可が下りませんでした。医師の中にはウィルスを体内で増やさない効果がある新薬だと言っている方もおりました。 
 以前血清製剤の中にB型、C型肝炎、HIV感染者の血液が使われたため、輸血された人に感染による影響が出てしまい、最終的に厚生省が告訴され、敗訴する結果となったこともトラウマなのでしょう。
 一度失敗すると、このごろの日本では批判を避けるために思い切った対策を打たないことが多くなっているように感じます。そのような意気地のない役所のせいで大量の死者を出して、経済を疲弊させても良いのでしょうか。
 既に改正薬機法交付により、動きを進めようとしていますが、現状これだけ国民生活が疲弊して困っている人が出ているにしては速度が遅い感が否めません。
 新薬を評価することは人命に関わることですから慎重に進めなければいけないことはもちろんですが、今迄に1800万人が感染し、隔離され、毎月平均9千人の死亡者、さらに後遺症に悩み、就労できない人たちのことを思うと、1兆や2兆の費用を掛けてでもこれらの問題解決を行うことで経済の疲弊を防ぐべきではではないでしょうか。
 2兆円は赤ちゃんも入れた日本一人当たりの負担は1万5千円です。感染した患者を隔離し、PCRをいつまでも無償で大量に検査するよりはマシだと思いませんか。
 会社を休んだ減収部分は患者持ちです。対処薬の導入が遅れると、軽症の患者でも働けないほどの後遺症の損失を考えると一人当たりの損害はそのような額ではないでしょう。


これからの対策
 安倍のマスクが5百億円掛かったと聞いています。あのマスクは小さすぎて顔全てを覆うことが出来ず、ほとんどの人が役に立てることが難しかったように感じます。その費用があったら不織布のマスクの工場を10社は立ち上げられたでしょう。経済産業省はそのような計算は出来ないのでしょうか。
 企業でもそのようなことが多々あると思いますが、自分以外、内々のアイデアで凝り固まり、広くアイデアを取り入れない風潮があるような気がします。
 また、役所では自分達の立場が悪くならないような対応ばかりが見え隠れします。
 これからは、今迄のしがらみは捨てて、現実的な対策をどうするか考えられる世の中にしませんか。経験の少ない若い人たちからのアイデアも上司は真剣に検討できる体制が必要です。新しい時代は経験だけでは解決できないことが出てきます。
 若い人、社内における部下達のアイデアをもっと検討する力が今の日本には必要となってきていると思います。このままでは日本の経済は疲弊してしまいます。
 円安の状況で日本からの輸出が有利なはずですが、車や家電製品は海外生産移転が進み過ぎて、日本が製品として売るものが30年前からすると大幅に少なくなり、輸出できる商品を持っている企業は円安メリットが出ますが、海外から購入する価格が上がってしまい、業績がかえって悪くなる企業も出ています。昔の手立てではどうしようもないのです。
 
我々も自身も頑張らなくてはいけない
 どうか新しい時代への移り変わりに向けて進んでいってほしいと思います。
我々教員も新しい時代を築ける気概を持てる学生を育てられるように、新世界へ希望を持って励むことが出来る学生となれるような教育が出来るように頑張りたいと思います。
 「Boys, be ambitious. 青年よ、大志を抱け」  Dr. William Smith Clark
 先日逝去された京セラ 名誉会長 稲盛氏の「利他の精神」
 我々の校訓「人になれ、奉仕せよ」
 今こそこれらの言葉を心に秘めて邁進していきたいと思います。