「コロナ・ウイルスから人類への手紙、そして自分自身に出来ること」

関東学院大学 材料・表面工学研究所
田代 雄彦

2019年12月に発見された新型コロナ・ウイルスCOVID-19が世界的な猛威をふるって早や1年以上が経ちました。最近では変異型ウイルスの発生により、私たちの生活が脅かされています。しかし、全国的にワクチンの接種が高齢者からはじまり、少し明るいニュースも出てきました。ところで、皆さんは以下の詩「コロナ・ウイルスから人類への手紙」をご存知ですか?

地球は囁きました、でもあなたは耳を貸さなかった
地球は話しました、でもあなたは聞かなかった
地球は叫びました、でもあなたは耳を塞いだ
そして、私は生まれました・・・

私はあなたを罰するために生まれたのではありません・・・
私はあなたの目を覚ますために生まれたのです・・・
地球は助けを求めて叫びました・・・

大洪水、
でもあなたは聞かなかった

燃え盛る火事、
でもあなたは聞かなかった

猛烈なハリケーン、
でもあなたは聞かなかった

恐ろしい竜巻、
でもあなたは聞かなかった

水はプラスティックゴミで汚れ、
海の生き物が死んで行き、
警鐘を鳴らして氷山は溶けて行き、
厳しい干ばつ、
そんな時、
あなたは地球の声を聞こうとはしなかった
地球がどれほど悲観的な危機にさらされていても
あなたは聞こうとしなかった

終わりのない戦争

終わりのない貪欲さ

あなたはただ、
自分の生活を続けていた

どれだけの憎しみがそこにあろうと
毎日何人が殺されようと
地球があなたに話そうとしていることを心配するより
最新のiPhoneを持つことの方が大切だった

でも今、私はここにいます
そして、私は世界のその廻る日常を止めました
ついにあなたに耳を傾けさせました

私はあなたに避難を余儀なくさせました
私はあなたに物質的な考え方をやめさせました・・・
今、あなたは地球のようになっています

あなたは自分が生き残ることだけを考えています
どう感じますか?

燃やされた地球・・・
私はあなたに高熱を与えました

汚染された空気・・・
私はあなたに呼吸への課題を与えました

地球が毎日弱って行くように
私はあなたに衰弱を与えました

私はあなたから快適さを取り除きました
抑制された、あなたの外出
あなたが以前は忘れていた地球とその痛み
そして私は世界を止めました

そして今・・・
中国の空気はきれいになり・・・
工場は汚染を地球の空気に吐き出さなくなり
空は澄み切った青色に
ベニスの水は透明になり
イルカを見ることができます

なぜなら水を汚していたゴンドラを
使っていないから

あなたには、
自分の人生で大切なものは何かを考える時間が出来ました
もう一度言います、
私はあなたを罰しているのではありません・・・
私はあなたを目覚めさせるためにここにいるのです

これが全て終わったら私は去ります・・・

どうか、これらの瞬間を覚えておいてください

地球の声を聞いてください

あなたの魂の声を聞いてください

地球を汚さないでください

争うことをやめてください

物質的なことに気を取られないでください

そして、あなたの隣人を愛し始めてください

地球とその生き物たちを大切にし始めてください

何故なら、この次、

私はもっと強力になって帰って来るかもしれないから・・・
                         コロナ・ウイルスより
 
 この詩はヴィヴィアン・リーチという方が、第1回の非常事態宣言発出時に、COVID-19からインスピレーションを受けて書かれたようです。和訳をつけた方がおり、シェアして良いとのことでFaceBookの心友が送ってくれました。
物質優先の考え方をやめ、人間同士が仲良くするだけでなく、自然にも優しい生活に目覚めさせるために、COVID-19は我々の前に出現したのだと思います。先ずは身近な人・もの・動物・自然から大切にしましょう!

 よく「コロナ前の世界」という言葉が使われますが、折角、このような状況になったのですから、この新型コロナ・ウイルスを糧とし、新しい挑戦をはじめようではありませんか。私は糖質制限のダイエットを開始し、筋肉を付け、基礎体温を上げ、免疫力も上げる食事療法と生活環境に向き合いはじめました。持病の痛風、高脂血症、糖尿病の薬を毎日4種5錠飲んでいますが、健康体であれば、これらの劇薬を飲む必要はなく、薬代や病院への交通費・診療代も、それらに掛かる時間も必要ありません。
 私の父は大腸ガンが原因で亡くなりましたが、一般的にガンになる要因として、ストレスや紫外線、たばこや排気ガス、偏った食事やウイルスなど、多くのガン発生要因が挙げられます。最も大きな要因は「低酸素」・「低体温」・「高血糖」だそうです。世界的な免疫学者の安保徹先生によれば、ガンという病気の正体は、過酷な環境への細胞の適応反応であり、細胞の「先祖帰り現象」であるとの事。人類は多細胞生物といって、60兆個もの細胞が協力してひとつの生命体を作りあげています。ところが、人類の祖先はもともと単細胞で、1個1個の細胞がそれぞれ生命体でした。人にとって、つらく厳しい環境が長く続くと「低酸素」・「低体温」・「高血糖」の状態となり、その環境に対応するため、いくつかの細胞がご先祖の頃の細胞に戻り、それが遺伝子変異を起こして発生するのがガンです。働き過ぎや心の悩みなどによるストレスからくる「低酸素」、運動不足や血流障害による「低体温」、そして栄養の偏りによる「高血糖」などが主な原因です。
 現在の日本人は、主食として白米を食べています。そのため、人間にとっての主食は、大昔から穀物(米やパン、麺類)だったと思っている人が多いようです。ところが、お米や小麦粉、トウモロコシなどの穀物を主食として食べ始めたのは、人類の永い歴史からみれば、つい最近のことです。日本でお米の栽培が始まり、日本人が玄米を主食として食べ始めたのは、今から約6000年前、白米が食べられ出したのが江戸時代前期以降の僅か300年の歴史しかない。たった300年では人間の身体の構造は変化に対応出来ないのです。
 穀物が日常的に食べられるようになる前の人類は、動物の肉や魚、貝や海藻などの海産物、野草、木の実などを食べてきたと考えられています。こうした人類の食性の起源から考えて、本来人間にとって主要な栄養素は脂肪、タンパク質、ビタミン、ミネラルの四つで、炭水化物は入っていないという説があります。その証拠に、四つの栄養素にはすべて必須栄養素が存在しますが、炭水化物には必須栄養素が無い。炭水化物は分解されると、糖という形で身体の中で使用され、糖は脳に必要とされる重要な栄養素と言われますが、糖は必須ではなく、身体の中でアミノ酸や脂肪から作られる成分であるケトン体で代用がきくことが分かっています。というより、農耕時代以前はケトン体の方がメインで、糖は木の実などを食べた時だけ得られる、飢餓に備えての貯蔵用の栄養素だった可能性が高いとの事です。ケトン体は3ヒドロキシ酪酸とアセト酪酸という2つの物質の総称ですが、脳はブドウ糖より前者を好み、心筋もブドウ糖より前者を使った方が、パフォーマンスが高く、酸素消費も少ないので、心筋梗塞や脳梗塞で貧血状態の組織に有効なエネルギーです。最も重要なのは3ヒドロキシ酪酸が使われると活性酸素の発生が少ないので、スローエイジングなエネルギー源となります。また、赤血球と肝臓は糖だけを栄養素として使いますが、糖は外から摂らなくても糖新生といって、体内のアミノ酸(タンパク質)や脂肪を分解して得られるグリコーゲンから必要量が合成できます。なお、ガン細胞も赤血球と同じく糖だけが唯一の栄養素です。つまり糖が主食なので、もし糖が少ないと赤血球とガン細胞とで糖の奪い合いが起きます。生物界において主食がぶつかる生物が、同時期・同地域に2種類以上存在した場合、どちらかが絶滅します。本来は圧倒的に多い赤血球が勝ち残るのが道理ですが、必要以上に糖が多い場合は、赤血球とガン細胞は共存出来ます。脳細胞は、糖以外にケトン体も栄養として使えるため絶滅することはありません。即ち、糖質制限はガンに効くということです。
 「「砂糖」をやめれば10歳若返る!」の著者でお茶ノ水健康長寿クリニック院長の白澤卓司先生によると、糖はドラッグの一種であるコカインの7-8倍の依存性があり「マイルドドラッグ」であると表現されます。十数年前はまさかの時のがん保険が、現代は二人に一人がガンになっている。この事実を直視する必要があります。糖はガンの餌なのです。

我々の身体すべての細胞は、3ケ月で生まれ変わることをご存知ですか?
 胃腸は5日、心臓は22日、皮膚は28日、筋肉と肝臓は60日、骨は90日。要するに3ヶ月でほとんど新しい細胞に生まれ変わるのです。長い人生の中のたった3ヶ月間、糖質制限をし、ケトン体体質に生まれ変われば・・・と、私は現在実践中です!
 ケトン体体質とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、皆さんもご存知のサッカー日本代表の左サイドバックの長友佑都選手が実践しています。糖は直ぐにエネルギーに変わりますが、直ぐに消費してしまいます。一方、ケトン体は糖が無くなったタイミングで糖新生が行われ、必要な糖を生成します。彼の疲れ知らずの驚異的なスタミナはケトン体体質に因るものです。「甘いものは別腹」などと欲望丸出しの人は、先ず食事を大幅に見直すことをお薦めします。そうでなければ、ガンや新型ウイルスなどに怯え続ける人生になってしまいます。
 農林水産省のHPによると、「食品ロス」とは、本来食べられるのに捨てられてしまう食品をいいます。日本の食品廃棄物等は年間2,531万トン。その中で「食品ロス」の量は年間600万トン(平成30年度推計値)。日本人の1人当たりの食品ロス量は一年で約47キログラム。これは日本人1人当たりが毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てているのと同じ量になるとの事です。これでは人にも自然にも優しくありません。飽食の時代の日本だからこそ、昔のような粗食に返る必要性を感じます。「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのですから、ハンバーガー、カップラーメンや冷凍食品ばかりを食べていてはいけません。

ご長寿遺伝子をご存知ですか?
 長寿遺伝子は、2003年にマサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ博士と今井眞一朗博士の研究グループによって、Sir2(サーチュイン)遺伝子が長寿につながることが発見されました。Sirは、サイレント・インフォメーション・レギュレーターの略で、「静かなる情報を規定するもの」という意味です。長寿遺伝子には以下の3つの特徴があります。
 (1)なまぬるい環境では活動しない
 (2)取り除くと死に、増やすと長生きする
 (3)遺伝子があるだけでは仕事をしないが、活性化すると一生懸命仕事をする
すなわち、長寿遺伝子のスイッチをオンにしてあげないと、活性化しないということです。
 この遺伝子はすべての人が持っている遺伝子ですが、活性化していない人が多いそうです。この遺伝子を活性化する方法はカロリー制限で、必要最低限の粗食により活性化されるそうです。太った人より痩せ型の人の方が活性化し易い可能性は高いのですが、どんな人でもこの遺伝子を活性化させる物質があります。それが「レスベラトロール」です。この物質はアーモンド、ピーナッツ、クルミなどのナッツ類、ブルーベリー、クランベリー、ブドウなどのベリー系の果実に多いそうです。ワインなら白より赤ワインに4倍含まれています。特にナッツ類の皮の部分に多いので剥かずにそのまま食べることをお薦めします。

 アメリカの心理学者アブラハム・マズローは、私たち人間の複雑極まりない欲求を以下の5つの段階に分類しています。
 ①生理的な欲求;空気、水、食物、睡眠などが十分に与えられること
 ②安全への欲求;恐怖や不安から解放されること、快適であること
 ③愛と帰属の欲求;愛されること、自分の居場所があること
 ④自尊心の欲求;他人に認められること、尊敬されること
 ⑤自己実現の欲求;自分らしく生きること、心が充実すること
この五段階の欲求には続きがあり、マズローは死ぬ前に、この五つよりもっと上の欲求があると考えましたが、それが何なのか分からないまま死んでいきました。日本におけるイメージトレーニング研究・指導のパイオニアである西田文郎(にしだふみお)氏は、マズローのその欲求は「無欲」であると考えていると著書「はやく六十歳になりなさい 後悔しないラストチャンスの生かし方」に記しています。無欲といっても「何もいらない」というあきらめの境地や枯れ果てた老人の無欲ではありません。物欲を捨て、「人さまのためにのみ行動したい」と本気で思える究極の欲。損得抜きに社会に貢献し、多くの人と幸せを分かち合いたいという積極的な無欲。自分の「魂」を磨き上げたいという欲です。「積極的な無欲」とは、物も名誉もいらないという無心の状態でありながら、「命に代えてもやる」という強い信念のある究極の状態です。つまり、「積極的な無欲」は純粋な動機による生き方なのです。私も将来的にはこの境地に到達したいと思います。

 私の大好きな作家の一人、伊集院静氏の「大人の流儀10 ひとりをたのしむ」の冒頭の文章をご紹介します。

 敢えてひとりになるのではなく、人間にはひとりになる状況が否応なしにやって来て、ひとりで生きることと向き合わねばならないことが、実は大半なのだとわかった。そのことを教えてくれたのは、コロナだった。コロナに感染した人は勿論だが、コロナをおそれ、注意深く生活する人が、実はひとりで生きるということがどういうことなのかを理解しなくてはならないのを、私は思い知った。コロナが私たちの隣りにいる以上、コロナをおそれ、コロナを遠ざけ、果てはコロナなんかに負けてたまるか、と歩き出す気力が、実は大切なことだと思い知るようになった。いっとき、“WITHコロナ”と唱える人々がいた。それが広がっているようにも思う。どうともに生きるかは、それぞれの人が行動に移せばいいだろう。しかし私は、“WITHコロナ”という発想は、今までも、今も、これから先も持つつもりはない。家族を、友を、師を、後輩を死におとしめたコロナと、ともに生きることなどできない。逃げ出したい気持ちになることはあるが、それでも逃げはしない。私はコロナに対しては常に前向きで、この感染症を見つめ続けようと思っている。コロナを防ぐには、コロナに感染しないためには、他人、人と接触するのを徹底して避けることだが、私たち人間は他人と関わらずには生きていけない。一人、独りで生きることには、忍耐が必要だ。忍耐は養わなければ成長しないし、耐えてみて初めて、同じように耐えている人がいることに気づく。ひとりということをわかち合えないか?ひとりで生きているからこそ、その人にしか見えない、素晴らしいものがあるのではないか?―あの人もひとりで耐えている。ひとりを経験したから、そう考えられるようになった。
 ひとりをたのしむことができたら、それはたぶん大きな一歩になるだろう。

 人間とは人(ひと)の間(あいだ)と書きます。人と関わるから人間なのです。コロナ禍の状況でも、個々人がひとりも楽しむことができる精神性が必要かもしれません。日本のトップコンサルタントの佐藤芳直氏の「日常は準備のとき、非日常は学びのとき」という言葉を思い出しました。
「日常」、つまり「普段」、どれだけ自分を磨いているか。これが「非常時」に試されます。
そして、普段、自分を磨いている人は「非常時」に「学ぶこと」ができます。この新型コロナ・ウイルスを糧に常日頃から準備を怠らずにいきたいと思います。
 最後に現在挑戦中の私の糖質制限ダイエットを簡単に紹介します。朝食は無調整豆乳で溶かしたプロテインを15グラム、昼食は茹で卵5-6個、カマンベールチーズ、サラダチキン1つとサラダ少々、夕食はもずく酢、納豆、味噌汁に魚や肉とサラダ少々です。お腹が空いたらナッツ類を食べ、水は1日3.5~4リッター飲みます。勿論、白米は食さず、1週間に1度程度の玄米を食べます。こんな生活を2ケ月以上継続し、筋肉が付いた状態で体重は5キログラム以上減り、持病の糖尿の数値なども大幅に改善しています。私たちは食べたもので出来ています。こころは投げかけられた言葉で育ちます。将来の自分が喜ぶいきかたを実践していきたいと思います。(了)

参考文献;
宗像久男著;「ガンは5年以内に日本から消える!症状を抑える「対処療法」から原因を治す「原因療法」へ」(経済界新書)
宗像久男著;「改訂版 その生活がガンなのです」(TWJ BOOKS)
白澤卓司著;「脳の毒を出す食事」(ダイヤモンド社)
白澤卓司著;「「砂糖」をやめれば10歳若返る!」(ベスト新書)
白澤卓司著;「2週間で効果がでる!ケトン食事法」(かんき出版)
西田文郎著;「はやく六十歳になりなさい 後悔しないラストチャンスの生かし方」(現代書林)
伊集院静著;「大人の流儀10 ひとりをたのしむ」(講談社)

以上